開業初期のひとり塾経営において毎月の経費を把握しておくことは何より重要です。
なぜなら、経費を把握して初めて損益分岐点が明確になるからです。
開業初期はまずは損益分岐点を超えて、黒字経営にすることを目標とします。
例えば経費が月20万かかるなら、まずはこの20万を超えるために、何人の生徒を獲得するのか。そのためにチラシを何部刷って、何件の問い合わせを目標にするなど、戦略を練るわけです。
仮に単価を1.5万に設定すると、約14人集めれば黒字になるというわけです。
実際に経営を始めてみないと経費がいくらかかるのかは想像しにくいですよね。
そこで、ひとり塾で10年目に入った自塾の先月の経費をまとめてみました。
多少端数は切り捨ててますが、ほぼリアルな数字です。これからひとりで塾を始めようとする方に参考になればと思います。
ある月の経費
ある月の自塾の経費は以下のような感じでした。
項目 | 金額 | |
① | 家賃 | 114,000円 |
② | 電気代(電灯) | 3,500円 |
③ | 電気代(動力) | 7,000円 |
④ | 広告費 | 6,500円 |
⑤ | 教材費 | 53,000円 |
⑥ | ネット・通信費 | 5,000円 |
⑦ | 口座振替手数料 | 7,500円 |
合計 | 196,500円 |
家賃
家賃は最も大きな固定費です。最初から家賃を高くし過ぎると損益分岐が一気に上がり、黒字化まで時間がかかります。その間に資金がショートすれば廃業になってしまいます。
最初は家賃の低い小規模なところで始め、仕事に慣れてきて生徒が増え始めたら移転を考えるというのが合理的かもしれません。
ちなみに自塾は約55㎡で、収容人数は最大25人です。
電気代(電灯)
一般的な電気代です。ひとり塾では電化製品をそれほど置くことはないので、料金も大してかかりません。
ちなみに、物件を見る際は夜にどれだけ明るい教室かをしっかりと確認しておく必要があります。
物件の内見はたいてい朝から夕方頃にやると思いますが、塾の仕事の大半は夜です。
『昼は気にならなかったけど、夜電気付けたらなんか暗いな』なんてこともあります。実際自塾では初期の段階でLEDに変えました。
暗いと勉強する上で目に負担がかかります。細かいストレスになりますし、塾の雰囲気も全体的に暗くなってしまうので注意しましょう。
電気代(動力)
『動力』はあまり聞きなじみがない言葉かもしれません。というのも一般の家庭では通常は契約しません。
業務用のエアコンなど大きな電化製品を動かすためには一般的な電灯では足りないので、動力契約が必要になります。
自塾の広さで家庭用エアコンは対応がギリギリだったので、業務用エアコンにしました。
動力は、季節によって電気代が大きく変わります。暖房を使う時期は1万を超える月もありますし、逆に使わない時期はもっと低くなります。
広告費
チラシの作成や印刷、新聞折込やポスティングなどに充てる費用です。
自塾はチラシをもう何年も配っておらず、あえて広告費に入れるとすればホームページの維持費です。一応参考までにお世話になっているところを紹介しておきます。
開業初期は広告費も家賃に次いで大きな支出になるかと思います。
教材費
自塾で採用している学習システムの月額利用料です。
特にひとり塾では、塾長ひとりでも授業をまわして成績を上げられる指導スタイルを確立する必要があります。
自塾のスタイル確立のために必要だったので費用としては重いですが採用しています。
ネット・通信費
電話やインターネットを利用するために必要な費用です。
料金は一般的な家庭での契約とそれほど変わらないかと思います。
口座振替手数料
自塾では生徒の授業料はすべて口座振替で対応しています。
私にとっても保護者にとっても最も楽で確実な方法です。7,500円程度なら安いものです。
固定費以外の支出
これまでに上げたのはあくまで固定費です。それ以外の支出も当然に出てきます。
固定費だけなら、まだ何とかなりそうだけどな~
消耗品や雑費
プリンターのインクやA4紙、掃除機のパックや生徒用のスリッパ…さらには空気清浄機やパソコンまで…
消耗品は定期的に購入が必要です。壊れたら買い替えも必要です。
細かい支出ですが重なるとそれなりの支出になります。
自塾では1000円程度の月もあれば10万を超える月もあります。
イレギュラーな支出にも対応できるようにしておかなければなりません。
税金・国保
2年目以降は税金の支払いもあります。
例え50万の売り上げがあっても、経費で20万で手取りは30万。
そこから税金が引かれると、手元には20万程度しか残らない…なんて月もあるかもしれません。
まとめ
ひと月にかかる経費は固定費だけではありません。消耗品や税金の支払いなど、思っている以上に口座からお金が出ていきます。
固定費だけを考えて最低限の蓄えで事業を始めてしまうと、思っている以上のペースでお金が消えていき、あっという間に資金が底をつく、なんてことになりかねません。
必要に応じて資金調達も視野にいれつつ、運転資金にはある程度余裕を持たせて事業をスタートさせましょう。