保護者の顧客満足度を高めることは、経営の安定化にとって必要不可欠です。
経営を安定化させるために必要なことは、新しい生徒を確保すること以上に、来てくれた生徒が退塾しないようにすることです。
中学1年生から3年まで辞めずに36ヶ月通ってもらえれば、月単価2万で計72万の売り上げになります。
これに講習やオプションが加われば、100万以上の売り上げも見込まれます。
3年通ってもらってひとり100万…
1人退塾というのは、数字だけ見れば大したダメージではないように感じますが向こう3年100万の損失といえば、大きなインパクトです。
新しい生徒を増やすこと以上に、今いる生徒が辞めないようにすることにも注力しなければなりません。
保護者が退塾を考えるタイミング
『退塾』
塾をやっている人なら、どんな言葉よりも胸にくるのではないでしょうか。
そもそも保護者が退塾を考えるときとはどのようなときか。
そりゃテストでの成績が上がらなければ辞めるでしょ。
たしかに成績が伸びていなければ退塾を考えるきっかけになります。
しかし、それだけでいきなり辞める!というケースは実は多くありません。
成績が上がらないことが続いている状態に対して、塾の改善努力が感じられないときです。
テストで1回成績が下がったからって辞める決断をする保護者は実はそれほどいません。(ゼロではないですか)
保護者が本当に退塾を考えるのは、
保護者はお金だけ払い、塾はブラックボックスの中で子供を指導し、塾での様子を何も知らされず、塾長の考えもやる気も見えてこない。たまに面談で会えたと思えば講習の勧誘。
これで成績が上がらなければ、辞めるのも当然です。
逆に言えば、塾が子供のために最大限やるべき方策を取っているということを保護者が認識していれば退塾は防げる可能性があるということです。
たとえ1度成績が下がったとしても、顧客満足度を高めておくことで、退塾を一歩遅らせることができます。
その後成績が上がれば、おそらく継続してもらえますから、この遅らせた1歩はとても大きな1歩です。
顧客満足度を高める方法
ではどのようにして顧客満足度を高めればいいのか。
顧客満足度が下がる原因は、「保護者とのコミュニケーション不足」と「塾長の発信不足」だと私は考えています。
これらを改善できる方策が、ひとり塾における顧客満足度を高める方策と言えます。
こまめに状況連絡
最低でも週1回は保護者にメール連絡する。
これが実は非常に重要です。
月に数万のお金を払っているのに、実際塾で我が子がどう過ごしているのかよくわからない。
この状況は保護者にとっては非常に不安なわけです。
塾で勉強している間の子どもの様子は親は分かりません。2時間塾にいれば、2時間集中して勉強しているだろうと思うしかないのです。
ここで塾と保護者の認識に矛盾が生じてしまう可能性が出てきます。
『あれだけ塾で勉強していたのに成績があがらないなんてどうなってるの!』みたいなクレームに代表されます。
こんなことにならないように、メールで細かく状況を報告しておくわけです。
その際子どもの良い点だけでなく、改善点も包み隠さず全て伝えます。
それに対してどう対処していくか、場合によっては保護者にも協力を要請しながら、タッグを組んで改善を目指します。
塾での指導をブラックボックスにせず、保護者が子どもの塾での様子や状況を常に把握できているという状態を目指しましょう。
ブログをこまめに更新
受験情報や塾での些細な出来事、塾長の考えなどをこまめに発信することで、塾や塾長に対する保護者の理解が深まります。
理解が深まるほど塾の運営に協力してもらえるようになります。塾と保護者の協力関係が強くなるほど生徒の成績も上げやすくなります。
さらに、顧客というのは何も塾に通っている保護者だけではありません。
将来的にこの塾に通わせたいなと思っている人も大切な『潜在顧客』です。
そんな潜在顧客に対してしっかりと情報を発信しておくことも後の顧客を増やすための1つの手段です。
私自身も自塾でブログをやっていますが、初めて面談する際に『ブログ読んでます!』と度々言われます。
ブログをこまめに更新しておくことは、最もコスパの良い顧客満足度アップ、そして集客につながります。
講座や説明会で情報発信
人間関係は直接のコミュニケーションが最も効果的で持続的です。
とはいえ、ひとり塾で保護者ひとりひとりに面談をするのは大変。
そこでおすすめなのが説明会です。
『公立高校受験に向けた説明会』『大学受験説明会』『受験勉強のやり方説明会』など、ニーズに合わせた説明会を開催して情報を発信していきましょう。
顧客満足度を下げかねないサービス
無料○○
無料でサービスを提供したら顧客満足度も高まるんじゃない?
顧客満足度を高める方法として手っ取り早く『無料○○』をしてしまいがちです。
大手塾でも『無料テスト対策』『無料講座』『無料体験』など無料を餌にしているところがたくさんあります。
ただこれは大手だからこそできる技。資金も人手も限られているひとり塾では自分の首を絞めることになります。
一度無料にしてしまったものは、有料化しにくいんです。
特に無料に惹かれてきた人にとっては、満足度が大きく下がることにつながります。
有料ですがその分責任もっていいサービスを提供します!
こちらのスタンスの方が長い目で見ればプラスになると思います。
個別の特別対応
有料サービスを、特別に無料で提供する。
規則上できないことを、特別にしてあげる。
保護者や生徒に喜んでもらいたい気持ちはわかりますが、個別の特別対応はするべきではありません。
今まではやってくれたのに、なんでダメなの!
特別対応をしてくれた人は、今後も同じようにサービスが提供されることを望みます。
一方特別対応がない人は、その存在を知れば不公平感を抱いくことになります。
一時の優しさが、その後の自分の首を絞めることにつながり、結果顧客満足度を下げることになります。
心を鬼にして、ダメなものはダメ、ルールはルール、でしっかりと対応していきましょう。