開業時に融資を受けるべきか?

資金調達 年収・お金

以前の記事で初期で400万くらい持っておくとよいという話をしました。

400万程度あれば資金調達はいらないでしょ?

確かに400万ほど手元に用意しておけば、半年は乗り切れる計算です。

しかし、ひとり塾程度の個人開業ですら、当初の計画通りにいかないのが経営の難しいところです。

そこで出てくる一つの選択肢が『融資』です。

融資とは

簡単に言えば開業資金や運転資金を銀行などの金融機関から借りることです。

つまり借金。

もちろんタダで貸してくれるわけではありません。毎月利子をつけて返済をしていく必要があります。

利子を返すなんて無駄じゃない?そこまでして最初に資金を準備しておく必要ある?

融資=借金=悪?

特に日本人には、借金=悪いこと、と捉えている人が多く、借金などするべきではないという考えも根強いように思います。

しかし、融資とは手元にないまとまったお金を一括で貸してくれて、なおかつその手数料も分割で返せばいい、というありがたい仕組みだと思います。

しかもそれを何の実績もなく、いきなり開業するという一個人に貸してくれるところもあるわけで…。

当たり前ですが、法外な金利を取る闇金とか消費者金融はダメですよ。

『借金なんぞするもんじゃない!』などと、住宅ローンを借りている人が言ったりするのですから、言葉の印象とは怖いものです。

確かにローンって融資のことで、融資なんて借金だもん。住宅ローンは住宅購入用借金ってことだから。世の中の人は結構みんな借金してるんだよな。

いずれにしてもまとまったお金を貸してくれる赤の他人がいるわけですから…経営する上ではありがたい存在です。

融資を受けるメリット

口座残高が減っていくストレスを軽減

例えば自己資金400万を用意して、そこから開業で半分程度が1ヶ月で消えます。

口座残高が一気に200万になります。

口座残高が半分無くなったけど収入はまだゼロ…不安…

何日経っても問い合わせが来ず、ようやく2週間後に問い合わせが!

しかし、すぐに入塾するわけではなく、体験期間を考えると実際の入塾はもっと後。

それでも固定費は着実に出ていく。

開業初期は、設備や備品などの初期投資で一気に資金が消えていく一方、入ってくるお金はゼロです。このような状態で常に口座残高の心配をしながら仕事をするのは相当なストレスです。

その点、融資によって手元に資金がある状態なら、ひとまず資金がショートして廃業せざるを得ないようなことは当面の間心配する必要がなくなります。

お金の心配なく、生徒指導や塾の運営に全力を出せるようになるわけです。

ケチらず投資ができる

手元の資金が少ないと、かけるべきお金をケチるようになってしまいかねません。

例えば、座っていても疲れにくい椅子1つ8000円と、学校にあるような木でできたイス2000円。

20席用意すると前者は16万ですが、後者は4万です。

12万も違うのか、資金もそんなにないから…4万のほうでいいか!

12万もの差はあれど、生徒が塾で快適に長時間勉強することを考えれば私なら迷いなく8000円を選びます。

しかしもし手元の資金が少なければ、ケチってしまうかもしれませんよね。12万の差は大きいですから。

目の前の資金を維持することに注力して、長期的な利益を損ねてしまいかねません。

その点しっかりと塾に投資できるようになるのも、融資を受けるメリットの一つです。

事業が継続できる可能性が高まる

飲食店なら場合によっては、開業直後からお客さんがたくさんきて大繁盛する可能性もあります。

しかし塾はそうなりません。

ある程度安定して問い合わせが来るようになるのは、地域に口コミが広まってからです。

成績を上げるのに最低半年、それを継続して、口コミがもらえるまで1年、生徒の人数によっては2~3年かかるかもしれません。

いくら成績をあげても、口コミが広まる前に事業が継続できなければ意味がありません。

手元に資金がなければ、広まったころに資金が底をついて廃業している、なんてことになりかねません。

目の前の生徒の成績を上げていき、口コミが広がってくるまでに事業を継続するために、どんなことにも対応できる資金力があるのは重要なことです。

融資のデメリット

金利の支払い

とはいえ、やはり金利の支払いも安いわけではありません。

400万借りて金利4%なら、元利均等10年返済で約86万の利息が乗ります。

ただ、1年で8万6千円、月約7200円払えば、手元にまとまった資金が入ってくるわけです。

特に手元に資金がない状態ならなおさらです。

廃業時は一括返済

個人事業の10年生存率は10%を切ると言われています。

10人に9人は10年以内に廃業しているわけです。

一般的に、借金をして開業した場合、閉業すれば一括返済が求められます。

手元に資金がなければ連帯保証人に返済してもらう必要もでてくるかもしれません。

私自身この辺の話の詳細は正直分かりません。担当者に事前に確認することをおすすめします。

資金調達先はほぼ1択

ゼロからひとり塾を開業するにあたって、融資を受けるなら選択肢はほぼ1択。

日本政策金融公庫です。

財務省所管の国が100%出資した政府系の金融機関です。

新たに事業を始める小規模事業者向けの特別貸付があります。

私も開業時に300万の融資を受けました。

返済期間8年の年利2.45%という条件でした。

何の実績もない人間が突然銀行に数百万もの融資をお願いしても審査は通りません。

某大手メガバンクに若く無知な私は突撃していきましたが、まさに門前払いのような感じでしたから。

融資を検討するなら日本政策金融公庫が第一候補になると思います。

ちなみに地方の信用金庫なら借りやすいという話を聞いたことがあります。政府系金融機関の方が条件はよさそうですが、どうなんでしょう。

興味のある方は話を聞いて比較検討されることをおすすめします。

融資を受けるべきか

結論『自分のメンタルに応じて必要な人は資金調達を検討するべき』だと考えます。

私は石橋をたたいて渡るタイプの人間だったので、融資を受けました。

自己資金と融資の計700万くらいで開業し、資金がショートして廃業する心配もなく目の前の生徒の指導に専念できました。

一方で、資金に余裕がある油断から、無駄な集客に手を出してしまった失敗も数多くあります。

正直それで100万くらいは無駄な出費があったかもしれません…。

リスクを避けて、自己資金の中だけでやりくりするのか。

リスクを受け入れてに資金調達をするのか。

メリット、デメリットも併せて検討してみましょう。

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