ひとり塾は少人数高単価で利益を上げていくことが基本となります。
一方で高単価と言っても市場平均を大きく上回ってしまうと、そもそも集客ができない可能性もあります。
少人数でも利益を上げるためには何をすればよいのでしょうか。
授業料以外で利益を上げる
単価を上げる方法は主に2つあります。
- 授業料を上げる
- 授業料以外のオプション部分を充実させる
1の授業料を上げるのは王道ですが簡単ではありません。
例えば中学生の授業料週2回の地域平均2万5000円だとして、授業料を4万に設定してしまえば、そもそも集客に支障を来たします。
もちろんそれだけの価値を提供できるならいいのですが、他塾との金額差が大きい分だけ保護者の期待も大きくなります。
少しでも成績が下がれば退塾するでしょうし、「あの塾、授業料がめちゃくちゃ高いのに効果がなかった」なんていう口コミが広がってしまう危険性があります。
ですので、よほど実績を上げて、需要が供給を大きく上回る人気塾でない限り、市場平均を大きく超える授業料を設定するのは厳しいでしょう。
一方で2の授業料以外の部分、つまりオプション部分で利益を上げれば、その分単価のアップにつながります。
オプションの考え方
オプションを設定するといっても、なんでも有料化すればよいというわけではありません。
それじゃ…質問1回あたり100円オプション!
通常の学習において必要不可欠な部分を有料化してしまうのはおすすめしません。
オプションはあくまでオプション。たとえ選択しなくても通常の学習に支障がないものでなければなりません。
オプションは「やれる子にとっては不要だけど、やれない子にとっては意味があるもの」という点を基準に考えるとよいでしょう。
オプションの例
定期テスト直前の対策講座
王道のオプションは定期テスト前に実施するテスト対策講座ではないでしょうか。
定期テスト範囲に合わせてポイントをまとめた授業や、出題されやすい問題の解説などは、確実なニーズが見込めます。
うちは無料でやってるな…
王手の学習塾はこのようなテスト対策講座を無料でやっているところが多いようです。
アルバイトの労働力で多くの生徒の塾への満足度を高められるなら安いものです。
さらに『友達も一緒に連れてきてもいいよ!』と言って、来てくれた友達に無料でテスト対策を受けてもらえば、そこから入塾につなげられる可能性も高まります。
ただ、これはあくまで大手の戦略。
ひとり塾で単価を上げて利益を得るなら、ひとり塾長の労働力を無料で提供するべきではありません。
テスト前の自習
定期テストの前の、自習のニーズが最も高くなるタイミングだけ自習を有料にするのも一つの手です。
普段無料で提供しているのに、テスト前だけ有料にするのってなんかいやらしくない?
ニーズがあるときに普段より料金が上がるなんて市場原理からすれば当然のことです。
ホテルの宿泊料金は平日より休日のほうが確実に高いですよね。飛行機のチケットだって平日より年末年始のほうが高いです。
テスト前だけ有料にすることで、本気でテストに向けて頑張る子だけを相手にすることができます。それで単価も上がるのですから一石二鳥です。
例えば1週間の強制的な自習を5000円に設定したとして、年に5回テストがあればそれだけで2万5000円です。10人受講してもらえればオプションだけで25万ですからね。
受験対策講座
受験対策講座は単価も高く設定できますし、ニーズも高いので、すでに取り組んでいる塾も多いのではないでしょうか。
都道府県によって公立高校入試の出題形式や配点、試験時間などもすでに決まっているので、『○○高校対策講座』など、高校別で講座を設定するとよりターゲティングでき、申し込みまで誘導しやすいです。
宿題をやっていなかったときの補習
以前、ひとり塾において宿題忘れは軽視してはいけないという記事を書きました。
厳しく叱責してもいいのですが、私はルールで縛って、ツケは全部忘れた本人に払わせる方がいいと考えています。
自塾の指導システムでは、仮に宿題を忘れた場合、授業に入る前に30分~1時間程度自習として宿題を終わらせてもらってから、通常の授業に入ります。
この宿題忘れに対する自習に対して料金を発生させています。
私自身ここで売り上げを伸ばそうなどとは考えていません。やむを得ず有料にしているだけです。
宿題をやらなくても塾で余分に1時間程度自習すればOKになるなら、そっちの方が良いと考える子も出てくるかもしれません。
記憶定着という宿題の本来の意義が失われます。
有料にすれば保護者も子供に声掛けしようと思うでしょうし、私も多少の売り上げが入るので溜飲が下がります。
オプション提案時の注意点
オプションはむやみに提案するのではなくステップを踏むことで受講率を上げることができます。
- 子供の問題点を明確にすること
- 問題点が独力で解決できるかどうかを保護者に考えてもらうこと
- オプションを提案し、受講による効果を説明すること
テスト前に課題はちゃんとやるんですが、ポイントを押さえて勉強できるか不安で…。テストの結果もあまりよくないので、ちゃんと理解できていないのかもしれません。
例えばこのような悩みを相談されたとしましょう。ちなみに保護者の悩みは最初の面談の段階で聞いておくとスムーズにオプション提案ができます。
まずは問題点の指摘です。
確かに課題はやれているようですが、正しく直しができていないようですね。赤ペンで答えを書くだけで終わらせている問題もあり、課題の正しい進め方が身についていないよう思います。
問題点を指摘したら、次は子供が独力で解決できるかどうかを保護者に考えてもらいます。
間違えたら解説を読んで理解し、その日のうちに再度解き直しをしましょう。直しをするときも、友達に説明できることを目標に理解を深められるといいですね。
確かにその通りだけど、言ったところでちゃんとできるかしら…
保護者に考えたもらったうえで、最後にオプションを提案します。
ちなみに全教科対応のテスト勉強の計画や進捗チェックはオプションで受講できます。これならちゃんと理解できているか確認できるので、ちゃんと理解した状態でテストに臨めるようになると思いますよ。
いきなりオプションの一覧表を渡して『こんなオプションあるので希望者はどうぞ!』なんていうのは提案ではありません。
ひとり塾長として生徒の問題点は把握しているはずですから、そこを解決できるような提案ができるとオプション受講率も高まり、単価のアップに大きく貢献してくれます。
塾は教育ボランティアではない
こういったオプションの話をすると…
細かいところからチマチマとお金をとって…金にがめついな~
こんな風に思う人もいるのかもしれません。特に日本人には「金儲け=悪」と捉える気質があるようですし…。
私がオプションとして挙げた補習や講座を無料で提供している塾もあると思います。
もちろんそれ自体は否定しません。個人塾ですから自由です。
一方で、塾はボランティアではなく、れっきとしたサービス業です。
有益なサービスにお金がかかるのは当然です。
生徒にとって本当に価値のあるサービスなら、保護者はお金を払ってでも受けてくれます。
逆にたとえ無料でも受講価値の低いものなら、最初は有難がられるかもしれませんが、そのうちもっといいサービスの塾に行ってしまいます。
保護者が望んでいるのは、安い塾よりも子供の成績が上がる塾なのですから。