もう限界だ!こうなったら自分で塾をやってストレスから解放されるぞ!
ひとり塾を独立開業する人のなかには、塾をやりたい!という想い以上に「今の仕事から逃げたい!」という動機の人もいると思います。
それ自体は否定しません。否定する権利もありませんし、私もどちらかと言えば最初はそうでした。
ですが、安易に個人事業主になると、厳しい現実が待っているかもしれません。
個人事業主になる前に、現状と比べてどちらがより自分の人生にプラスになるのかを考えてみてください。
そもそも個人事業主とは
個人事業主とは、法人を設立せず個人で事業を営む人を指します。
ちなみに、個人事業主の条件は、【ある事業を、独立した状態で反復、継続して運営していること】だそうです。そのため、サラリーマンの副業などはこれに当たりません。
要するに組織の後ろ盾がない状態で、独力で事業を継続している個人ということですね。
個人事業主の現実
組織に守られていない
サラリーマンは退職後基礎年金に加え厚生年金もらえます。退職金ももらえます。
もちろん給与から引かれてはいますが、天引きしてくれているともいえます。自分で積み立てることができない人にはありがたいでしょう。
そして、失職しても失業手当がもらえます。
社会保険料は会社が半分出してくれています。
取りやすいかどうかは別として、育児休暇、有給休暇もあります。
このようにサラリーマンは本当に組織に守られています。
一方個人事業主はどうでしょうか。
退職金?ありません。自分で作らなければなりません。
厚生年金?ありません。老後の資金は全部自分で作らなければなりません。
失業手当?当然ありません。失業すれば収入ゼロです。
育児休暇?有給休暇?なにそれ美味しいの?
社会保険料?死ぬほど払います。
個人事業主とは、まさに個人ですべてをやらなければならないのです。
信用力がない
個人事業主は社会での信用性がありません。
個人事業主は人として信用できないってことか!?失礼な!
「人として」ではなく、「事業として」ってことですね。
数年先に事業が継続できているかも分からない個人事業主より、持続性も安定した給与も見込める会社員や公務員の方が信用されるに決まっています。
それが顕在化するのが『ローン』を組むときです。
個人事業主としてどれほど稼いでいても、信用度は公務員には遠く及びません。
家を買うなどこれから大きな金額で単独でローンを組む予定があるなら、個人事業主になる前の方が無難です。
確定申告を自分でやる
自分の収入がどれだけあってそこから税金や社会保険料をどれだけ払うのか。
それらを国に申告する作業を確定申告と言います。
サラリーマンは会社がすべてやってくれます。多くの人が源泉徴収票を見て終わりだと思います。
一方、個人事業主は全部自分でやらなければなりません。
1年間の入出金をすべて記録して収益、費用を計算し、書類を作成し、提出まで全部やるのです。
会計ソフトやマイナンバーで申告や提出は慣れれば楽ですが、慣れるまでは悪戦苦闘するかもしれません。
ひとり塾ですから当然ですが、会社がやってくれていたありがたみを感じると思います。
個人事業主の老後は…
個人事業主には定年退職というものはないので、何歳になっても働けます。
しかし、当然退職金はありません。
また、厚生年金もないので、もらえる年金はサラリーマンより低くなります。
つまり、定年退職はないが、老後の資産は自分で作っていく必要があるということです。
個人事業主と言う立場を生かした選択肢としては、
①iDeCo
②小規模企業共済
③倒産防止共済
このあたりでしょうか。詳しくは以下のページをご覧ください。
まとめ
個人事業主は組織の後ろ盾がないため、事業だけでなく税務申告も資産形成もすべて自分でやらなければなりません。
これをリスクだと思うなら個人事業主は向いていないかもしれませんね。
一方で『自分ですべて思い通りにできる』と前向きに捉えられる人は個人事業主向きではないでしょうか。