多くの塾で、入塾前のお試しとして体験授業を実施しています。
保護者側からすれば、塾の授業が子供に合うのかどうかを入塾前に見極められるので、非常に有効です。
しかし塾側にとってはどうでしょうか。
早く売上が欲しいから、その日に入塾を決めてほしいわ~
こんな風に思う人もいると思います。
しかし体験授業を実施しないと塾は大きなリスクを抱える可能性があるのです。
体験授業は塾のリスクヘッジ
体験授業は保護者のためのように見えて、実は塾のリスクヘッジとして重要な意味があるのです。
問題児を見極める
問題児というのは、勉強ができない子、という意味ではありません。
『塾の学習環境を壊し、周りの子に迷惑をかける恐れのある子』そして『やる気のない子』です。
前者は言うまでもありませんね。平気で私語をしたり、注意を聞き入れない子の面倒を見ている時間はありません。
ただでさえ、ひとりしかいないのですから。
後者は、少し説明をします。
私の『やる気』の定義は、『塾生としてやるべきことをしっかりとやる気持ち』です。
宿題など言われたことなどをしっかりとやってくるという意識。これがない子は塾に入っても成績は上がりません。
こういった子はたとえ入塾しても成績が上がりにくいです。それどころか、成績が上がる可能性が高い子の学習環境を損ねる危険性すらあります。
ですから自塾では、体験授業でそういった問題児を見極め、その恐れがある子は入塾をお断りしています。
どんな生徒でも受け入れるべきだろうけどな~
人員が限られているひとり塾では、問題児1人が塾経営を妨げる危険性があります。
目先の売り上げを優先して誰でも彼でも受け入れてしまうと、のちにそれ以上の損失を生む可能性がある、ということを肝に銘じて今も運営しています。
覚悟のない子を振るい落とす
友達と一緒に塾に行って、おしゃべりしたいな~!
友達と一緒に塾に行って、先生とも楽しくおしゃべりしながら勉強して成績をあげたい。
なんて甘い考えの子は一定数います。
宿題多いですか?うちの子多いとできなくて…なんて言ってくる保護者もいるくらいです。
そのため自塾では、体験授業でも特別扱いせず、何なら他の生徒よりも厳しく指導するようにしています。
塾を『しっかりと勉強して成績を上げるための場所』だと認識させるにはそれが一番手っ取り早いです。
それだと、嫌だと言って入ってくれないんじゃない?
厳しいから入らないという子は、いずれにしても成績は上がりません。
目先の売り上げは惜しいですが、成績を上げて口コミを広げるには、成績を上げる最低限の覚悟があるかどうかは見極めるべきです。
生徒を選ぶのも大切
ひとり塾では、入ってからの指導は当然全部塾長がやります。
安易にどんな子でも入塾させてしまえば、その負担は全部自分に返ってきます。
さらに成績が上がらずに辞めれば、それが直で塾の評価につながります。実績のない経営初期ではそれが大きなダメージになることもあるのです。
これがアルバイト講師がいるような大手の塾なら気にせずどんどん生徒を獲得すればいいのです。
ひとり塾経営を成功させるうえでは、ある程度生徒を選ぶことも必要です。
客を選ぶなんてなんか傲慢じゃないか?
理想だけではなかなか経営できないというのも私は10年で学びました。綺麗ごとはいくらでも言えますから。
入塾を断る際のポイント
どんな保護者にとっても大切な子供です。
そんな子が塾の先生から入塾を拒否されるというのは辛いですし、嫌な気持ちになるものです。
それでもいうべきことは言わなければなりません。
とは言え頭ごなしに否定してもいけません。反発を生めば無駄な悪評が広がりかねませんから。
大切なことは2点。
- 入塾できないケースを最初の面談でしっかりと伝えておくこと
- 入塾できない理由をしっかりと説明すること
特に1は重要です。
保護者の中には、申し込めば必ず入塾できると考えている人がいます。
たしかに客として金を払うって言っているのに、拒否されると思わないかもな~
こういうケースでは入塾はできませんとあらかじめ生徒と保護者にしっかりと伝えておきましょう。
その上で、もしそのケースに該当すれば、しっかりと説明して入塾をお断りするメールをしましょう。
これは以前私が送ったメールです。
体験を受講していただきありがとうございました。
最初の面談でお伝えし、メールもさせて頂いておりますが、○○さんの取り組みに関して、家での宿題がやれていないこと、それが改善できなかったことから、今大変恐縮ですが当塾で成績を上げるお手伝いをするのは難しいかと思われます。
せっかくご検討いただきましたがお応えできず申し訳ございません。
ただ、このようなメールを送ることは稀です。最初に入塾できない要件をちゃんと伝えているので、生徒も保護者もそうならないように頑張ってくれます。
例え頑張れなかったとしても、このメールを受けて「なんで!?」と文句を言ってくる人は過去1人もいません。
まああれだけ説明されたのにやれなかったから…仕方ないか…
このように思ってもらえるくらい、最初の面談でしっかりと説明しておきましょう。