100人以上生徒を集めて講師は2、30人くらい雇って大きな塾を作ろうかな~
これまでの一般的な塾はまさにこのスタイルでした。つまり、たくさんの生徒をたくさんの講師を雇って運営するスタイルです。
私はこのスタイルを否定はしません。事実、これで大きな利益を上げている塾もたくさんあるでしょう。
しかし、長い目で見た時に、このスタイルは限界を迎えると思っています。
ひとり塾は塾経営のリスクを最小化できる
ひとり塾経営では社会的なリスクや経営的なリスクを最小化できます。
少子化のリスクを回避
日本は年々少子化が進んでいます。子供の数は年々確実に減っていくのです。
塾にとっては将来の見込み顧客が減っていくことは確実です。
さらに大学生の数も当然に減っていくわけですから、アルバイト講師の数も確実に減っていきます。
すると、少ないアルバイトで少ない生徒を指導するしかなくなります。
少ない生徒なら、わざわざアルバイトを雇わずに自分でやった方が安定するんじゃないか…?
少子化が進む日本では、少人数を塾長1人で指導する形が一番安定することになります。
塾にとっては少子化により顧客の数も減り、さらに働く人の確保も難しくなるという二重苦が待っています。それを回避するのに有効な形態がひとり塾だということです。
労働者を雇うリスクを回避
アルバイトや社員の応募数が減っていけば、採用できる人間の質も下がっていきます。
近年は「バイトテロ」なんて言葉もあります。
アルバイトがSNSに不適切な言動をアップして大炎上するやつね…あれを塾でやられたら最悪だね。
塾の講師が生徒に対して不適切な行為をして逮捕される事件もあります。
自分にどれだけ信念があって真面目に仕事をしようが、雇っている人の不祥事でいとも簡単に悪評が広まります。
労働者を雇うということはそれだけでリスクもあるのです。
とはいえ、人を雇えば利益は最大化でき、事業規模も拡大できるなどメリットも大きいですけどね…。さて、一言で人を雇うと言っても雇い方によってリスクの大きさは変わります。
まず社員として雇う場合ですが、そもそも開業したての無名個人塾に社員として応募してくる人などほぼいないと言っていいでしょう。
社員の確保は相当ハードルが高いです。
たとえ運よく雇うことができたとしても、日本は被雇用側の権利が圧倒的に強いです。一度社員として雇うとどんな無能な人間でも簡単には辞めさせられません。
少子化で被雇用者の数が減っていけば弱小個人塾に来る人間の質も当然下がっていきます。社員を雇用することはリスクが大きいといえます。
どうせうちみたいな小さい塾に社員の応募はないからな。アルバイトでまわせばいいか
アルバイトは社員よりも雇用するハードルは低いですが、その分流動性が高く安定しません。
アルバイトに教育し、何とか仕事をこなせるようになったとしても大学卒業と同時に辞めていきます。
さらに子供の数が減れば応募するアルバイトの数も減っていくので、一定のレベルに達していない人材でも雇わざるを得ず、指導の質を担保できません。
SNSを見ていると、多店舗展開している塾のオーナーは、雇っている社員やバイトにストレスを抱えている方も多いようです。
労働者を雇っても、うまくマネジメントできる人なら利益は天井知らずです。しかし、人を動かすことや指導することが苦手だと、相当なストレスを抱え込むことになるでしょう。
人間関係のストレスを抱えず仕事をしたい人にはひとり塾経営をおすすめします。
損益分岐が低く即時廃業リスクを回避
塾経営の二大コストが人件費と家賃です。
当然、人を雇わないひとり塾では人件費がかかりません。
さらに、ひとり塾経営なら教室の広さもそれほど必要ないので、もちろん地域にもよりますが家賃を低く抑えられる傾向にあります。
学習塾経営の2大コストが低く抑えられるのがひとり塾経営です。
2大コストがを低く抑えられれば、損益分岐を超えやすくなるので、経営も維持させやすいです。
維持ができても利益がでなきゃ生活できないよ~
その通りです。ここがひとり塾の重要な点。人件費をかけず一人で運営する中でどれほど利益を最大化できるか。
自塾の場合、塾長ひとりで、年間売り上げ1200万程度、年収800万程度を数年維持しています。
ただ開業初期からこれが達成できたわけではありません。
3年目に年収500万くらいになりましたが、そこまでに廃業してしまっていれば今はありません。
その点、ひとり塾は廃業しにくい。経営を維持させやすいので、資金がショートしてすぐにつぶれることをそれほど心配せずに済むのはメリットの一つと言えます。
ひとり経営特有のリスクもある
当然経営においてリスクゼロなんてことはあり得ません。ひとり塾経営にもリスクはあります。
なかでも代替要員がいないというには、ひとり塾経営における最大のリスクです。
体調不良などで塾経営を離れるようなことがあれば、収入はゼロです。
これがサラリーマンなら有休があったり、失業保険があったりと、何かとカバーできますから、その点ひとり塾経営のリスクと言えます。
とはいえ、このリスクはしっかりと人間ドックに行くことである程度回避できます。私自身も年に1度は人間ドックに行っています。
休みが取りにくいわけでもないですし、体調不良も年に数日ですから、人を雇うリスクと天秤にかければ私はひとり塾経営を取りました。
自分の価値観を基準に選ぶ
人間関係でのストレスを感じにくい。人を動かすことが得意。サラリーマン時代に上司としての実績がある。
このような人はひとり塾ではなく、人を雇って経営した方が利益は最大化できます。2000万、3000万と稼ぎたいならひとり塾は適していません。
一方で、人間関係のストレスをなくしたい。指導することがストレス。
このような人にはひとり塾がお薦めです。一方で利益は1000万程度が限界です。
う~ん…やるなら何千万と稼ぎたいけど人を動かすのは苦手なんだよな~
何かを得るということは何かを失うということです。自分の価値観を基準に優先順位を決めていきましょう。