自塾では今年度から中学生の授業料を値上げしました。
近年の物価高やエネルギーコストの上昇で経費もかさんでいます。
…というのは建前。
正直ひとり塾は支出も少ないですし、エネルギーコストも知れています。
自塾が値上げする理由は、ニーズがあるからです。
値上げは悪か?
よく「値上げをするのはお客様に申し訳ない」という話を聞きます。
人情味あふれる定食屋のご主人が、何十年もずっと値段を変えずに営業していて、それをスタジオで見ている芸能人が「安~!」とリアクションしているテレビ番組、よく見ます。
しかし、私は思います。
きっとこの定食屋さんは、値上げをしても変わらずお客さんは来てくれるだろうと。
提供する料理が素晴らしいものであれば、多少の値上げでもお客さんは離れないと。
これは塾も同じです。
提供している指導が素晴らしいものであり、成績が上がるのであれば、値上げをしても辞めません。
多少の値上げで辞めるのであれば、保護者にとって所詮その程度のサービスだったというだけです。
よいサービスにはお金がかかります。
人気のサービスにはお金がかかります。
サービスの価値が上がるにつれて、値段が上がるのは至極当然のことです。

自塾も現在中学生はキャンセル待ちの状態です。サービスの価値が上がっていると判断し値上げに踏み切りました。
さらに日本は今後物価が上がっていきます。
というよりも、今でもどんどん上がっています。
サラリーマンであれば、給料は基本的に年功序列であがっていくものなので、物価上昇に対応できます。(そうなっていない今の日本経済は甚だ問題ですが…)
しかし我々個人塾に年功序列はありません。長く続けるほど収入が増えるわけではありません。
物価がどんどん上がっていく中で料金を変えないということは、相対的に収入が減ることを意味します。
家族がいる人にとってこれは死活問題です。
「保護者に申し訳ない」という気持ちよりも、自分の家族の生活を守る方が重要ではないでしょうか。
いつかは必ず値上げをするものとして、準備をしておくことが重要です。
値上げをする上での注意点
満席でない状態の値上げは基本的にしない
いろいろな考えはあると思いますが、私は基本的に満席でキャンセル待ちの状態でない限り、値上げをするべきではないと考えています。
サービスにニーズがあり人気があるなら、値上げしても顧客は離れません。
逆に言えば、ニーズも人気もなければ、値上げで顧客が離れる可能性は十分あります。

物価高やエネルギーコストも上がっているから、値上げも仕方なしなのです!
物価高やエネルギーコストを言い訳に挙げるのもいいですが、この道理なら、物価やエネルギーコストが下がれば値下げすることなりますが、それは大丈夫でしょうか?
そもそもひとり塾なんて大した仕入れもないですし、狭い教室で運営するわけですからエネルギーコストもたかが知れています。
実際はコストの変動が大してないにも関わらず値下げをするのは厳しいですよね。
ですから、外的要因ではなく、サービスの価値が上がったからという理由での値上げをおすすめしているわけです。
塾なんてごまんとあります。
保護者には常に多くの選択肢があるという事実から目をそらしてはいけません。
成績が上がっていない状態での値上げは、他塾検討のきっかけとなってしまうでしょう。
値上げをして客単価を上げるよりも、生徒数を増やし、成績を上げ口コミを増やすことで収入を上げていく努力が優先です。
変更の告知は1年前
値上げにおいて配慮しなければならないのは、既存の顧客の心証です。
例えば突然「来月から値上げします!」と伝えてしまえば、いかに人気の塾でも心証はよくありません。

来年までの支出の見通しを立てていたのに…もっと早く伝えてほしかった…
値上げで喜ぶ客はいません。値上げは悪いことではないですが、相応の配慮は必要不可欠です。
自塾での値上げの告知は以下のようなステップを踏みました。
- 定員が埋まる。
- キャンセル待ちの問い合わせが来る前にホームページ上の料金を改定する。
- 既存の顧客は料金据え置きのまま、キャンセル待ち以降は値上げ料金にする。
1年前から新料金を設定し、「現塾生は今年度中は旧料金で通って頂けます」と伝えます。
さらに自塾では以下の文言を入れました。
「今後ご紹介を頂けた場合、紹介していただいた方は新料金でのご案内となります。現塾生の保護者様と料金は異なりますので、あらかじめご承知おきください。」
今後入塾するご家庭よりは安く通えるという印象を与えることができるのではないか、と思ったわけです。

いずれにしても、値上げはセンシティブなことです。1年前から丁寧に告知しておくことをおすすめします。
近隣他塾の料金と大きく乖離させない
いいサービスを提供しているなら客は離れない、と言いましたが、物事には程度があります。
月の料金が2倍になれば離れる客も出てくるでしょう。
まずは一定の幅にとどめて値上げをし、それでもニーズが変わらずあるなら期間をおいて値上げをするといった形で段階を踏むべきだと思います。
自塾では一度に値上げする幅は、料金の1割から多くても2割程度の幅にとどめました。
これ以上値上げすると、近隣他塾との乖離が大きくなると考えたからです。
さらに同程度のサービス内容で料金が他塾の1.2倍以上にならないように設定しました。
例えば近隣他塾の週2回の授業料が25,000円だった場合。
その1.2倍は30,000円となります。値上げ後料金の最大値が30,000円と設定します。
自塾の週2回の授業料が23,000円であれば、その1割~2割は2300円~4600円。
まずは1割値上げをし、25,300円で設定し、問い合わせなど、ニーズに変化がないか様子を見ます。
ここからさらに2300円値上げするかどうかは今後の動向によって判断します。
あくまで自塾で設定した計算値なので、参考までに。
値上げによる影響について
値上げをしたことによって問い合わせ数にどう影響するかは、値上げ後の動向を見なければ分かりません。
これから問い合わせして下さる方のほとんどは値上げしたことを知らない状態ですから。
料金がニーズを上回るのかどうか。
はたまたニーズを下回り問い合わせ数が減少するのか。
来年度の動向を注視して、追記します。