私は15年以上前、大手の個別塾でアルバイトをしていたとき、できるだけ生徒に嫌われないように仕事をしてきました。
アルバイトは生徒に好かれようが嫌われようが給料は変わりませんから。
それなら平穏に授業をして給料をもらった方が楽です。
しかし、塾長としてひとりで塾を運営する今は違います。
ひとり塾長は勉強できない生徒に嫌われよ
「勉強できない生徒にはとことん嫌われよ。それでも生徒が辞めなければそれは塾への信頼の証だ。」
私はこう考えています。
そもそも勉強ができない子が好きな先生ってどんな先生でしょうか。
それは、優しくて、怒らなくて、宿題も少なく、とにかく甘やかしてくれる先生です。
宿題は課さない。宿題を忘れても怒らない。
自分が楽できる環境を提供してくれる先生が好まれます。
塾に来る生徒は大体が勉強ができない子です。つまりほとんどがこういう子たちです。
他の塾で成績が上がらなかったり、家で全く勉強しなかったり、とにかく改善すべきことがたくさんあるのに、本人は楽したい、勉強したくない、などと思っている状態。
甘やかしてどうにかなる状態ではないんです。
これが大手塾なら話は別です。大手塾なら塾長と担当講師のどちらかが甘やかさなければ何とかなりますから。
ひとり塾は違います。
嫌われてでも、甘やかすことなく接しなければ成績など決して上がりません。
改善点を指摘されることは気持ちのいいことではありません。
心が成熟していない子供は反発し、結果的に嫌われることもあるでしょう。
でもいいんです。ひとり塾長は勉強できない子に嫌われることをどんどんやるべきです。
それで辞めるなら仕方ありません。
勉強できないのに勉強の負担を受け入れられないなら、成績など上がるわけがないのですから。
逆にそれで辞めないなら、塾長として信頼されているということです。
結果塾長を信頼してくれる子だけが残り、実績を生みやすくなるというわけです。
生徒を甘やかせば保護者に嫌われる
子供を甘やかすことを何より嫌悪するのは保護者だということを理解しておかなければなりません。
私は10年以上塾業界にいますが、『うちの子には優しく接してほしい』などと言われたことは一度もありません。
むしろ『ビシビシ指導してください』とか『厳しくしてください』などと言われることがほとんどです。
思春期の子供に対して保護者が厳しく接しても反発するだけですから。
気持ちは分かります。
厳しくしても反発するだけだから、赤の他人に厳しくしてもらいたいと思っているのでしょう。
このように、子供を甘やかさないでほしいと思っている保護者が大半です。
そんな中で甘やかすような対応をしていれば、それは保護者にも伝わります。
塾長としての信頼を失い、早晩退塾することになるでしょう。
何より、子供に嫌われることよりも、保護者に嫌われることの方が大問題です。
生徒を甘やかし、成績が上がらず、保護者の信頼を失った挙句、『甘い塾、ゆるい塾』という悪い口コミが広がる可能性があります。
弱小ひとり塾にとって、悪い口コミが広がることは廃業につながりかねないですから。
甘やかさない自塾の対応
ちなみに自塾における対応を紹介すると…
① 宿題を忘れた場合
宿題を塾でやってから授業に入る。宿題に何時間かかろうが、終わるまで授業は開始しない。
② 寝ていた場合
寝ていた分授業(学習時間)は延長
③ 分からない状態で帰ろうとした場合
分かるまですべて解き直し。
自塾において、甘やかさない指導と言うのは、厳しく指導することではありません。
叱るなどといった指導は自塾ではしません。
子供がサボったことで生まれた借金は、すべて子供に返済してもらうという理屈でルールを作っています。
やらないと自分が損するという認識を持ってもらうのが目的です。
このルールの下で授業を延長するなどしていますが、保護者からクレームを受けたことは一度もありません。
本来80分の在塾時間が、宿題忘れなどで結果的に3倍の4時間になった子もいましたが、保護者からは謝罪と感謝の言葉を頂きました。
ちなみに子供はふてくされた感じで帰りました。
でもまだ通ってくれています。
生徒に嫌われて生じる問題
結論、ひとり塾で生徒に嫌われて生じる問題などありません。
塾が合わず、塾長が本当に嫌いなら辞めていきます。
生徒が辞めるなら、大問題じゃないか!
生徒が辞めることが必ずしも塾にとってマイナスとは限りません。こちらの記事にもまとめたので時間のある方は是非。
また、塾長が嫌いでも塾を辞めないということは、先述したように、塾での学習が必要だと信頼してくれているということです。
もしくは自分に非があることを自覚していて、ただ思春期で反抗的な態度をとってしまっているだけ。
これならまだ成績が上がる可能性はありますから。
いずれにしても、嫌われることで生じる問題はありません。
嫌われてでも厳しい塾を目指す
生徒を甘やかさないというのは、あくまで私の矜持です。
ひとり塾はどんな信念をもって運営するかは塾長の自由なので、あくまで個人的な考えです。
自塾は大学受験までみるので、勉強の厳しさに慣れてほしいという気持ちもあります。
中学まで甘やかした挙句、高校の厳しい学習についていけない子をごまんと見てきましたから。
この記事をここまで書いて、似た記事を以前書いていたことに気づきました。笑
こちらもよろしければ是非。