ひとり塾は授業料の安さを売りにしてはいけない

安い授業料 年収・お金

ひとり塾では価格を決めるのも自分自身です。

『高単価にして利益を出したい!』と言う人もいれば、『低単価で喜んでもらいたい』という人もいるでしょう。

ひとり塾なのですから、自分の理想で価格を決めればよいのですが、この価格設定をミスすると経営に大きく影響します。

私の独自理論になりますが、参考までに価格の決め方やポイントをまとめます。

授業料の設定の仕方

まず大切なことは、周辺の塾の価格相場を把握することからです。

集団塾、個別指導塾など指導形態で料金も大きく変わります。

自塾は『個別指導塾』として看板を出したので、周辺の大手4,5社の料金を一覧にして大体の平均を取りました。

例えば中学2年週2回(1回90分)の授業で平均25,000円だったとします。これが一つの基準になります。

ふそしてここからは私の考え方ですが…

基準の料金に対して1割程度料金を下げて、授業時間を増やします。

基準が1コマ90分月額25,000円なら1コマ120分月額22,500円みたいな感じです。

私たちは、塾長ひとりしかいない突然現れた名も知れぬ個人塾です。

知名度も実績もないのに価格だけは一丁前。最初戦うには少々厳しいです。

確かに価格が変わらないなら、安全安心の大手の塾を選ぶな~

ひとり塾の低価格戦略について

ちょっと価格を下げて時間を増やすみたいなまどろっこしいことをせずに、一番安くすればいいのでは…?

結論、ひとり塾経営において授業料の安さで勝負するのは悪手です。

売上が早期に頭打ちする

なぜ大手が低価格勝負できるのか。

それはアルバイトのような安い人件費を大量投入できるからです。

大手塾なら単価が低くても生徒数さえ伸ばせば講師をどんどん雇って十分に利益を伸ばせるのです。

大人数低単価の勝負ができるのは大手の特権です。

一方でひとり塾ではそんなわけにはいきません。

例えば塾生が最大45人のひとり塾。

地域平均25000円のところで低価格戦略ひとり15000円にでもすれば、月の売り上げは約68万にしかなりません。経費20万かかるとすれば月収48万です。

最大でこれですから。

客の質が低下する

サービス業において一般的に単価が低いほど客の質は下がると言われています。

保護者の質が下がれば、理不尽なクレームに悩まされる可能性も高まります。

子供の質が下がれば、塾での指導に大きく影響します。

1人の問題のある子を対応していることで、5人の優秀な子を失うリスクがあるということを理解しておくべきです。

誰かにかかりきりになるということは、他の誰かには構えないということですから。

あっ、誤解のないように言っておきますが、問題のある子とは勉強のできない子、という意味ではないですよ。

値上げをしにくい

最初に低価格に設定し、それが主な目的で塾に来た人は、1回の値上げで簡単に去っていきます。

オプションで単価をあげようとしても、そもそもそういう人はオプションなど取りません。

授業料が上がっても絶対にこの先生に任せたい!と思わせるレベルになるまでは値上げはできないでしょう。

単価を上げる方法

ひとり塾では少ない生徒数でいかに利益を最大化できるかを考える必要があります。

一人当たりの単価を上げる方法は2つあります。

オプションを設定

例えばテスト前の対策講座や自習の強制、学習の進捗管理などをオプションとして設ける方法です。

成績を上げたいという目的は同じでも、保護者の抱える悩みはひとつではありません。

『うちの子は自分から質問できないからテスト前だけでもマンツーマンで教えてほしい』

『うちの子は家で勉強できないから強制的に塾で勉強させてほしい』

このような悩みを解決する手伝いができるように、うまくオプションを設定することで単価を上げることができます。

値上げ

実績が増えてきて、需要が高まれば、値上げをするのも一つの手です。

そもそも最初の段階で基準よりも1割程度下げて授業料を設定していれば、たとえ値上げをしたとしても他塾とそれほど大きな差は生まれません。

生徒の成績がしっかりと上がっていれば、たとえ値上げしても退塾に繋がるようなことは起きにくいです。

料金に傾斜をつける

例えば週1回1万円とします。

普通に値段をつけると週2回2万円、週3回3万円となります。

このように比例させるのではなく、高くなるほど割安になるように傾斜をつけるのです。

例えば週1回1万、週2回1万8千円、週3回2万7千円、みたいな感じです。

ここにさらに週2回以上に特典をつけて、週2回以上が割安になるように見せます。

生徒20人のうち10人が週2回、10人が週1回の場合、傾斜をつけなければ30万の売り上げです。

ここで傾斜をつけて割安感を与えて週1回の子を4人週2回に変更できれば、31万2千円です。

週1回を選ぶ人が減り、週2回を選ぶ人が増えれば結果的に売り上げは上がるというわけです。

低価格路線の末路

最初から地域最安などを掲げて低価格路線にしてしまうとどのようなことが起こりうるか。

予想してみました。

勉強への意識の低い子が多く集まりやすいので、成績が上がりづらい。

成績が上がらなくても価格が安いので保護者は辞めずにクレームばかり入れる。

余計な保護者対応に苦慮する。さらに問題児の対応で、他の生徒のケアが疎かになり成績が上がる見込みのある子も辞めていく。

何とか成績を上げようと厳しく指導すると、子供が嫌がって辞めていく。

経営維持のための値上げをしようとすると保護者判断で辞めていく。

質の低い保護者によって塾の悪い口コミが広がる。

結果全く利益が上がらずに廃業。

自塾は平均くらいの価格設定で、地域的にも比較的裕福な層が多いところなので幸いこのような状態にはなりませんでした。

しかし価格設定をミスすれば、地域によってはこのようなことになる可能性も無きにしも非ずです。

ひとり塾経営の低価格路線は長続きしない可能性が高いです。基準から大きく下げた低価格路線での集客はしない方が賢明です。

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