利益が伸びないときに考えること

心構え

サラリーマンなら会社の利益が伸びなくても雇用は守られますし、給与も一気に下がることはありません。(倒産するレベルなら話は別ですが…)

一方、個人事業主で利益が伸びないというのは、生活に直結する一大事です。

利益が伸びないとき

まぁ、いずれは問い合わせが来るだろう。生徒の紹介も増えるだろう。まあ何とかなるだろう…

と、特に何もせず、成り行きに任せて楽観的でいるのか、それとも

利益を伸びない原因は何だろう…伸ばすために何をすべきだろう…

と、常に危機感をもって対応を考えられるのかで、今後得られる利益は大きく変わります。

ここでは利益が伸びない主な原因を洗い出し、その対応策を考えてみます。

利益が伸びない原因を考える

利益を伸びない原因を明確にするために、以下の3ステップに分けます。

  • ステップ1:問い合わせが少ない
  • ステップ2:問い合わせはあるが入塾が少ない
  • ステップ3:入塾はあるが単価が上がらない

問い合わせが少ない

開業初期で問い合わせが少ないのは仕方がありません。

元教員という保護者の信頼がある状態で学区内で塾を開業する、といった特殊な例でない限り、独立開業当初は苦戦します。

このステップを超えるには、ある程度の期間が必要かもしれません。

しかし、これを超えられずに廃業していく塾もあるわけなので、なぜ問い合わせが少ないのかも考えてなければなりません。

このステップを超えられない塾の特徴は主に3つ。

  1. チラシがフツー
  2. ホームページがダサい
  3. 立地が絶望的

チラシがフツー

全く実績のない名も知れぬ人間が開いた個人塾に子供を預けようと思わせるためには、それなりの動機付けが必要不可欠です。

それをチラシで訴求しなければならないのに、大手塾と同じようなものでは意味がありません。

新規開校!合格をつかむ!みたいなありきたりな言葉とフリー素材の生徒写真ではあまりにもフツーですよね。

ホームページがダサい

運よくチラシを見てもらってホームページを訪問してもらっても、それがダサければ不安になり、問い合わせへの意欲は減退します。

ダサいホームページが何か、と言われると難しいのですが…結局素人が無料で作った統一感のない手作り感満載のホームページは大体ダサくなります。

保護者は自分の命よりも大切な子供を預ける塾を探しているのです。その想いを汲めていないようなホームページでは問い合わせにはつながりません。

立地が絶望的

立地が絶望的なケースは、損益分岐までかなりの時間を要する可能性があります。少ない問い合わせをしっかりとモノにして成績をあげて口コミを獲得していくしか道はありません。

飲食店でもたとえ立地が絶望的でもうまい店は関係なく繁盛するもんな…塾も一緒か。

問い合わせはあるが入塾が少ない

問い合わせが一定数あるのに、入塾まで持っていけない。

このパターンに当てはまる場合考えられる原因は2つ。

  1. チラシやホームページの期待値を超えられない
  2. 体験で通塾の効果を実感させられていない

チラシやホームページの期待値を超えられない

チラシやホームページではどれだけでも綺麗ごとが言えてしまいます。

綺麗ごとで期待値を上げるだけ上げておきながら、体験でそれを超えられないと入塾には至りません。

こうならないためには、チラシやホームページで口先だけの綺麗ごとではなく、『実際何をやるのか』という現実的な取り組みを伝えるべきです。

A:塾歴20年の塾長によるわかりやすい授業で成績を上げます!

B:1日1時間の個別指導と2時間演習!圧倒的学習量で成績を上げます!

Aの『わかりやすい』というのは主観でしかありません。人によって感じ方は違います。一方でBはすべて現実的な取り組みです。Bでは期待値との乖離は起こりません。

体験で通塾効果を実感させられていない

体験を通じて『通塾したら勉強できるようになるかも』と実感させられないと入塾には至りません。

今日先生に質問したんだけど結局分からないままだった…

どこから復習するのかの学習カリキュラムの立案から学習内容の難易度設定などの事前準備はもちろんですが、分からなかったときの声掛け 解けた時の声掛けなど、コミュニケーションをとる中で効果を実感させることも十分可能です。

いや!次のテスト範囲はここなんだから、そんな簡単な問題をやっても意味がない!

テストで点数がとれるかどうかの前に、まずは入塾してもらえるかどうかが先ですよ。

過度に褒めたり、無理やりな成功体験を与えることは私もお勧めはしませんが、少なくとも分からないまま帰宅することだけはないように気を付けたいですね。

入塾はあるが単価が上がらない

塾生がいるのに単価が上がらない原因は主に2つです。

  1. 成績が上がっていない
  2. 塾長が営業していない

成績が上がっていない

あまりいい例が思い浮かばないのですが…皆さんが美容機器をレンタル契約するとします。

A:月2000円  B:月5000円 C:月1万円 D:月5万円

実際どれほどの効果が得られるか分からない美容機器を契約するならどれを選びますか?

とりあえず月2000円のやつでやってみて、効果がありそうだったら値段を上げていこうかしら…

このように考えないでしょうか。実は塾も同じです。最初は週1回で授業をとってみて、成績があがればそこから回数を増やしていこうと考える保護者も多いです。

つまり単価が上がっていないということは、保護者が回数を増やそうと思っていないということであり、そ理由は往々にして成績が上がっていないということになるわけです。

塾長が営業していない

個人塾の塾長には営業が苦手な人も多いようです。

というよりも日本人のマインドに【お金儲け=悪】みたいな考えが染みついているといわれています。

たしかに【金儲け】ときくと、札束でうちわ作ってにやにやしながら仰いでいるスーツ姿の男が思い浮かぶわ~

サラリーマン教室長では、当然保護者のお金はすべて会社に入り、そこから給料がでます。

一方でひとり塾長は、保護者からもらったお金はすべて自分の懐に入ります。

授業回数を増やす提案や、別途料金が必要なオプションの提案を積極的にやると、お金目当てだと思われるのではないか、と二の足を踏んでしまうそうです。

自ら営業せずに、求められたらやろう、くらいの受け身精神でいたらいつまでたっても単価は上がりません。

利益を伸ばすために必要なマインド

目の前の生徒の成績を上げる

すぐに利益を上げようと、チラシをたくさん配ったり、ネット広告を利用したりなど、お金をかけて短期で結果を出そうとしがちです。

しかし、最も利益が上がる方法は生徒の成績を上げることです。

最初は数人の生徒しか集まらないかもしれません。

しかし、その子たちの成績を爆発的に上げることができれば、口コミは必ず広まります。口コミこそ長期的に利益を上げるために最も必要なものです。

予算よりまずは必要な提案をする

テストは20点台ばかりで勉強の習慣もなく宿題も答えを写して提出している。

そんな子がたかが1週間のうち1日2日程度塾に来て勉強したところで結果が出るのにどれだけ時間がかかるでしょうか。

この成績で週2日塾に来ても焼け石に水です。学習時間を増やして習慣をつけるためにも最低でも週3日は必要です。私のご提案は週4日です。4万くらいかかってしまいますが、成績を上げるにはこれくらいは必要かと思います。

予算は保護者が考えることです。塾が考えることは保護者の予算ではなく、生徒が成績を上げるための最短距離です。

高額な料金は請求しにくいから、手ごろな料金で提案した挙句成績が上がらなければ、本来得られる売り上げも口コミもすべて失っているということです。

退塾(入塾キャンセル)の原因をよく考える

塾運営が最初から完璧なものであるわけがありません。

何事もトライアンドエラーを繰り返しながら、自塾なりの最適解を見つけに行くものです。

その一番のヒントになるのが退塾や入塾キャンセルの理由です。

もちろんその理由を保護者が懇切丁寧に教えてくれるものではありません。そこは塾長が生徒の学習の様子や保護者とのコミュニケーションの中で察していかなければなりません。

  • 塾での取り組みに対する生徒のリアクションや表情
  • メールに対する保護者の反応
  • メールのやり取りの中でわかる保護者の要望

退塾の原因が分からないままスルーしてしまうと、今後同じような退塾者が出てくる可能性は十分にあります。それを防ぐために、その都度原因をよく考え、改革していかなければなりません。

自塾でも数年前、問い合わせに対する中学生の入塾率が下がったことがありました。

5件の問い合わせに対して入塾が1件。たったの20%です。

原因は、体験でICT教材を使う時間が長く、手を使って解く時間がほとんどなかったことだと分析しました。

パソコンを使っているときの生徒の表情やその後の声掛けに対する反応。そして保護者のメールで伝えてもらった子供の様子でほぼ確信したので、ここを改善しました。

すると一気に入塾率が上がったのです。今では80%以上を維持しています。

また高校生の退塾が一気に増えた時もありました。

この時も生徒の学習の様子や保護者とのメールから、高校生の自習に対して塾長の介入がほとんどなかったことが原因だと感じ、改善しました。

それ以降、退塾率は改善し、それどころか通塾回数増の申し込みも増えたのです。

自塾の例でしかありませんが、退塾やキャンセルは塾を成長させるためのヒントになるということは間違いありません。

ここで動けるか、スルーするかで塾が成長するかどうかが決まるといっても過言ではないと、自分自身の経験から痛感しました。

タイトルとURLをコピーしました