「廃業」
私としては「退塾」と同じくらい、いや、それ以上に怖い言葉です。
自塾も何とか今のところは廃業せずにやれていますが、明日は我が身。
他塾の廃業を目の当たりにしてうれしい気持ちなど一片も生まれません。
とはいえ、近隣塾の廃業について分析することは自塾にとってプラスになると思います。
近隣塾の廃業で考えるべきこと
廃業にもいろいろな事情があると思いますが、基本的に生徒が集まらなかったことが主な要因であるはずです。
ではなぜ生徒が集まらなかったのか。
属人性の強い個人塾では、単純に塾長の力不足という側面もあるかもしれませんが、基本的に塾の提供するサービスに対するニーズがなかったと考えられます。
これは自塾近隣の地域性を知る上で重要なヒントになります。
つまり、どのようなサービスが必要とされていて、どのようなサービスにニーズがないのかを知る手掛かりになるわけです。
自塾の地域のケース
自塾の近隣で廃業した塾は私が把握しているうえで今まで3件ほどありました。
私大受験メイン
大学受験において、私立大学受験に特化したサービスを提供する学習塾が廃業しました。
しかもたった2年という短い期間です。
この廃業で私が考えたことは、私立大学受験をメインとしたサービスはあまり必要とされていないということでした。
もちろん私立大学を受験する子はたくさんいます。
しかし、地方の高校はまだ国公立大学至上主義のようなものが色濃く残っているように感じます。
自塾の近隣の高校でも、とりあえず国公立大学を第一志望にするような指導があると聞きます。
そのような環境で、自塾の生徒にも「何となく国公立大学」という漠然とした考えを持つ子が多いです。
そのような地域性があり、私立大学受験に特化したサービスはあまり求められていなかったのかもしれません。
学校の補習塾
自塾からは少し離れてはいましたが、学校の授業の補習をメインにした集団塾が廃業しました。
要は学校で習ったことを復習して、分からないところを解決するようなサービスを提供しているようでした。
ホームページでは不登校の生徒や学校の授業が理解できない低学力の生徒でも安心、という謳い文句だった気がします。
一定のニーズはありそうでしたが、結局廃業してしまいました。
補習をメインにすると、基本的に底辺層や不登校の子しか集まりません。
実は自塾でも一時期補習をメインとしたコースを提供していた時期がありました。
しかし、やはり結果を出すのがかなり難しかったです。
不登校生徒や低学力層に対して補習だけで結果を出すには、指導力だけでなく細かな管理力が必要でした。
そういう意味でひとり塾との相性はあまりよくなかったのです。

こういうケースなら完全マンツーマンくらいじゃないと対応できないか…
どうしても結果が出ない期間が長くなってしまい、途中でほぼ退塾になってしまいました。
私の力量では限界だと感じ、そういった生徒をターゲットとした補習コースは廃止しました。
授業料が安価
ホームページを見ると自塾の料金に対して3割ほど安く提供されていました。
しかも開校当初は入塾金や教材費、半年間の管理費などを無料にしてました。
サイトのファーストビューにも「低価格で高品質な指導!」みたいなうたい文句があったと記憶しています。
とにかく安価であることを前面にアピールしていました。
しかし、結局2年程度で廃業してしまいました。指導の質が悪いとかそういうことではなく、単に生徒募集に苦戦していたようです。
度々サイトを訪問していましたが、定員が埋まることはなかったです。
授業料が安いことは保護者にとってマイナスにはならないにしても、それが決め手になることはないのだと思いました。

私はもとより安さをアピールした塾経営はダメだと思っていました。ある意味それが正しかったと思えました。
近隣塾の動向は常に把握しておく
重要なのは近隣の学習塾の動向を常に把握しておくことです。
自塾の近隣の個人塾3件は少なくとも週1でホームページを訪問しています。そして以下のようなことをチェックしています。
- 定員が埋まっているのか、募集を継続しているのか
- 新しいサービスを提供していないか。
- 更新してるブログの内容
- 合格実績の変遷(生徒数の変化をみるヒントとなる)
普段からチェックしているからこそ、細かい変化にも気づけます。
近隣塾が廃業して「ライバルが減った!」なんて考えるのはあまりにも危機感がありません。
明日は我が身です。
時代は常に流れるのであって、今受け入れられているサービスが数年後も同じように受け入れられていると思ってはいけません。
他塾が廃業したのなら、なぜそうなってしまったのかを分析し、自塾の経営に生かしていく意識が大切です。
普段から動向をチェックしていれば分析がより正確になります。
しっかりと分析して、地域のニーズの有無を把握し、自塾の経営、指導に生かしていきましょう。