入塾前に必ずやるのが面談です。
生徒の学習状況や塾の指導方針、コースの説明などを実施する塾が多いと思います。
自塾では面談は必ず子供を含めた3者で実施すると案内しています。
『親だけでお願いします』と言われても断ります。
私は子供のいない面談ほど無意味な時間はないと思っています。
2者面談が無意味な理由
子供の意思を判断できない
面談とは単に子供の学習状況をヒアリングしたり、塾の説明をする場ではありません。
子供が面と向かってコミュニケーションをとることで、子供の特性をより詳細に把握することが目的です。
ある時問い合わせ時に保護者からこのようなこと言われました。

うちの子はシャイでなかなか自分から質問できないかもしれないです
皆さんならどんな子を想像しますか?

最初は恥ずかしくて質問できなくても、少しずつ慣れていけるでしょ。
こう思う人もいるかもしれません。私もこの程度に考えていました。
しかし実際あってみると、まず私の質問に対して全く反応がない。
YES,NOクエスチョンですらだんまり。
目線も斜め下をずっとみていて、おおよそこちらとコミュニケーションを取ろうとする意志すら感じない。
質問数秒後に保護者が全部代弁して話し出す始末。
シャイとかそういう問題ではありませんでした。今考えれば何か自閉的な子だったのかもしれません。

さすがにこの状態での入塾は厳しいと伝え、お断りしました。
この例は少し極端かもしれませんが、保護者がやらせる気満々な一方子供は全然その意思がない、などというケースは本当によくあります。
生徒のやる気、意思は保護者からの伝達で判断してはいけません。
直接のコミュニケーションでのみ判断できることですから。
情報を得るだけが目的の可能性
保護者が子供を連れてきたがらない場合、塾から情報を引っ張ろうとしているだけ、というケースがあるようです。
面談自体は無料で行っている塾が多いと思います。
子供の学習のこと、進路のこと、受験勉強のことなど、塾側は面談で情報を提供することもあるでしょう。
子供の個別具体的な内容について、無料で簡単に情報を手に入れられる場所なわけです。

私自身経験はないですが、SNS上ではこういった目的の問い合わせがあったという投稿を目にします。
時間を使って面談をして、タダで情報を与えるだけ、なんてそんなボランティアみたいなことをやるなんてバカらしいですよね。
「まずは親だけで…」で人件費2倍

子供と来る前に、まずは親だけで詳しく話を聞いて、その内容を子供に伝えて、子供が興味を示せば再度子供と来たい
過去、こういった問い合わせが数件ありました。
同じご家庭に対して2度無料で面談をするということです。
仮に親のお眼鏡に叶わなければ子供と会うこともなくキャンセルですし、叶ったとしてもまた面談が必要って…無駄ですよね。
少なくとも塾にメリットはありません。
どうせ子供との面談が必要なのですから、「まずは親だけ」という無駄な面談は最初からしない方がいいでしょう。
保護者だけ来た時の自塾の対応
自塾では、ホームページ上でも保護者へのメールにも、必ず「面談は3者のみ」と明言しています。
これは明記することをおすすめします。
明言しているのに、いまだに保護者だけでくるケースが年1回くらいあります。
「子供が体調不良で…」
「子供が疲れてきたがらなくて…」
などなど、いろいろ言われますが、自塾では以下のように対応します。

では本日は塾の説明と質疑応答のみとさせていただき、具体的な学習のヒアリングは時間を改めてお子様も込みでやらせていただきます。
事前に連絡をもらえれば、日程を改めることもできますが、さすがにわざわざ来てもらって帰すのも申し訳ないですから。
ちなみにこのケースで子供が通塾に前向きだったことは、記憶する限りありません。
子供との面談の最大のメリット
入塾前の面談で子供に直接会って面談する最大のメリット。
それは塾の本気度を子供に直接伝えることで、通塾の覚悟を問うことができることです。
特に塾に通ったことのない子供は、塾がどういう場所かわかっていません。
先生が楽しく授業をしてくれて、友達と楽しく通えて、若い先生とおしゃべり出来て…という大手塾のCMの印象をそのまま持っている子もいます。
もちろんそういう塾もあるのでしょうが、少なくとも自塾のコンセプトは真逆です。
私はその認識を正し、直接子供の目を見て塾は本気で勉強するところであると伝えます。
ホームページに書いてある文字や親からの又聞きでは塾長の本気度は伝わりません。
個人塾って必死です。
守ってくれる組織もなく、知名度もない。
1人の成績を上げることが、口コミを呼び、より経営を安定させ、収益を増やし、それで家族を養うわけです。
目の前の生徒の成績を上げることが、自分自身、そして自分の家族の人生を豊かにするわけです。
一方で、たとえ塾長が本気だとしても、勉強する本人にその意思がなければ、成績など上がりません。
塾のため、自分自身のため、大切な家族のために、生徒の覚悟を問い、塾生として受け入れるかどうか決めるわけです。
それが最終的に生徒と保護者の利益につながりますから。
このような話をすると、「塾が生徒を選ぶな」とか「どんな子でも入れるべきだ」などということをいう人が出てきます。
きれいごとはどれだけでも言えます。
やる気のない子1人が塾に及ぼす悪影響は、塾で指導したことがある人ならわかるはずです。
やる気のない子を1人いれる目先の利益より、その先で生じる損失のほうがはるかに大きいんです。
だからこそ、生徒を選ぶ。塾の本気度を直接伝え、生徒の覚悟を確認する。
それを隣にいる保護者と共有する。
3者面談の価値はココにあるのです。