私は開業してから4,5年まではいろいろなサービスを提供できる塾こそいい塾だと思っていました。
また、たくさんのコースを作るほど申し込みも増えると思っていました。
すべての生徒、保護者のニーズを満たせるほど、顧客満足度が上がり、塾として発展すると。
しかし、10年やっている今、はっきり言えます。
個人塾、特にひとり塾はコースを絞ることをおすすめします。
開業当初の自塾の例
開業当初の自塾は以下のような感じでした。
- 小学1年生から高校3年生まで対応
- 月曜から土曜まで開校
- 個別指導を申し込まれれば日曜日も対応
- 英検対策、数検対策コース
- 不登校対応コース
- 中学生自習のみのコース
- マンツーマン個別指導コース
- その他個別のニーズに柔軟に対応
やっぱり生徒を集めようと思ったら対象が広いほうがいいはずなので、小1から高3までを対象だ!
平日来られない人もいるかもしれないので、土日のどちらかは開けよう!
英検や数検のニーズもあるのでコースを設定したら集客しやすいはず!
不登校生徒も増えているからフリースクール的に通えるコースを作ればニーズがあるはず!
マンツーマンがいいという子もいるはず!

とにかく幅広くコースを設定し、問い合わせをしてくれた保護者、生徒全員に対応できるような塾作りをしていました。
では、それによって生徒が増えたのか。
残念ながら答えは否です。
悩みました。
こんなにいろいろなコースを用意しているのだから、1つのコース当たり1人くらい問い合わせがあってもいいはずなのに…と。
問い合わせがあって体験してもらっても、結局入塾までに至らないケースもありました。
今考えれば当然です。
中途半端なコースを乱立したところで高いレベルのサービスなど提供できるはずがありません。
結局、自塾では自身の経験を活かせる、中学生と高校生に対する、定期テスト、入試対策だけに絞りました。
そこからです。問い合わせが増え始めたのは。
個人塾に多様なコースなど求められていない
結論、個人塾に多様なコースなど求められていません。
むしろ逆です。
保護者が個人塾に求めているものは自分の子供の問題をピンポイントで解決してくれるような専門性です。
そして生徒数の多い大手よりも我が子をよりしっかりとみてくれるだろうという信頼感です。
高3の大学受験生の親なら、小学生から高校生までやっている個人塾より、大学受験専門の個人塾のほうが安心感があるでしょう。
不登校の子をもつ親なら、たくさんあるコースのうちのひとつでやっている塾より、不登校専門の塾のほうが任せやすいでしょう。
今の時代、どれだけコースを作ってもそれを専門に指導する塾が大抵あります。
様々なコースを作ることは事業者側の自己満足でしかなく、保護者からすれば、結局何が強みなのか分からない塾として認識され、問い合わせにつながることはありません。
多様なコースは自らの首を絞める

たくさんコースを作っても満足してもらえるように頑張る!
確かに、たくさん人を雇えるのならいろいろなコースを設定することもできるかもしれません。
しかしマンパワーが1つしかない塾において、コースの乱立は自分の首を絞めることになります。
10個のコースそれぞれに1人ずつ10人の申し込みがあった場合、マネジメントが塾長1人に対して10通り必要ということです。
一方で2個のコースそれぞれに5人ずつ10人の申し込みがあれば、同じ売上でも2通りのマネジメントで済みます。
マネジメントの数が増えるほど、人件費もかかります。
特にひとり塾ではマネジメントの数が増えるほど、塾長の負担が増大します。
負担が増えれば、自身の体がもたなくなるか、サービスの質が低下するかの二択しかありません。
ひとり塾はコースは絞る
コースを絞ることで保護者が塾の特徴や強みを理解しやすくなります。
例えば以下のような塾があります。
- 数学専門塾
- 国語読解力向上専門塾
- 大学入試総合型選抜専門塾
- ○○中学,△△中学専門指導
これらはかなりコースを絞った例です。
ここまで絞るには、看板に違わぬ専門性が必要です。

う~ん…ここまで絞れるだけの自信は正直ないな…
このような強い絞りでなくとも、ひとり塾でマネジメントしやすくなる軽い絞り方もあります。
- 中学生は公立中学限定(中高一貫校の生徒は取らない)
- 対象は小学生と中学生のみ(または中学生と高校生のみ)
- 中学生は定期テスト対策のみ(英検などはやらない)
ターゲットを絞れば、おのずとコースも絞れます。
逆にターゲットを絞らないからあれやこれやといろいろなニーズに対応しようとして、やたらとコースが増えていくわけです。
そして武器が分かりづらい、保護者に選ばれづらい塾になっていくわけです。
ひとり塾はコースを絞る!
不安なのはわかります。でも今の状態でうまくいっていないのなら、思い切って絞ってみてください。
ターゲットを明確にして、保護者に強みをアピールできるようにしましょう。