休塾って…退塾とは違うの?
休塾とは、塾に籍を残したまま一定期間塾を休むことです。
様々な事情があると思いますが、特にひとり塾経営においては、基本的に休塾を受け入れてはいけません。
休塾を受け入れるデメリット
売上損失
休塾を受け入れてはいけない一番の理由は、休塾期間に生徒の補填ができないからです。
残席数に余裕がある塾ならそれほど深く考える必要はないかもしれません。
しかし、ある程度生徒数が集まり、満席に近づいてくるとこの意味が分かると思います。
例えば生徒数30人で現状満席のひとり塾があります。
ある生徒が短期留学のため休塾を希望しました。半年後に復帰を希望しています。
この場合、半年間は生徒数が29人になります。
しかし半年後に生徒が帰ってくると言っている以上、この1席を埋めてしまうわけにはいきません。
たしかに生徒を入れちゃったら、半年後にオーバーしちゃうもんな…半年だけ通ってくれる生徒がいるならいいけど…
つまり半年間は生徒1人分の売上損失が発生するわけです。
特に少人数高単価で運営するひとり塾では、たった1人の休塾でも売上に大きく影響します。
必ず復帰するとは限らない
さらに休塾したあとに必ず復帰してくれるとは限りません。
塾に行かない期間が長いと、その日常が当たり前になってしまいます。
行かない期間が長いほど、復帰のハードルは高くなります。
もともと勉強への意欲が高くない子の場合、このハードルを越えられず、そのまま退塾という流れになってしまう可能性もあります。
必ず復帰をしてくれるならまだしも、復帰してもらえなければ休塾期間は塾にとって損失以外の何物でもありません。
半年~1年の休塾希望への対応
自塾では半年以上の休塾に対してはすべて退塾で対応しています。
来ていない生徒よりも、塾で頑張りたいと今思っている生徒を優先するべきだと思うからです。
いかなる理由であれ、一度退塾してもらい、その後もう一度塾に通いたければ、再度問い合わせをしていただくように伝えます。
でも席数に余裕があるなら、認めてもいいんじゃない?
その時点で余裕があっても、後々問い合わせが増えたり、生徒がコマ数を増やすなどして、席数が一気に圧迫される可能性もあります。
近くの塾が廃業して問い合わせが急に増えるとか、塾経営って何が起こるか本当にわかりませんから…。
やはり、「今塾に通っている子」「今すぐに塾に通いたい子」を優先すべきだと私は思います。
3ヶ月以内の休塾への対応
例えば学校のカリキュラムで3ヶ月の短期留学があるなど、短期で休塾を希望されるケースもあるかもしれません。
自塾の場合は、2~3ヶ月の休塾は条件付きで認めています。
1ヶ月の休塾の場合は、振替で対応します。1ヶ月休塾をこまめに取られると困りますから。
条件は、万が一復帰しなかった場合、休塾期間の半額の授業料の納入が必要という金銭的条件です。
休塾期間中も通常通り料金を支払って頂き、復帰後に休塾期間分の料金を返金しています。
もし復帰しなかった場合、休塾期間分の料金の半額を返金します。
復帰しなければ塾に行っていないのにお金がかかるってこと?なんか納得できないな~
例えば不動産を購入するときには『手付金』というものがあります。
契約前に買主が売主に対してお金を支払うことで、『私が買うので、他の人は手を付けたらだめですよ!』とアピールできます。
もし売主が買主以外の人に売る場合は手付金の2倍を返還しなければなりません。もし買主が契約をキャンセルする場合は手付金は戻ってきません。
休塾でお金を支払ってもらうことはこの仕組みに似ています。
保護者は塾にお金を支払うことで、休塾後に復帰できることを確約してもらいます。
常に満席の塾なら、一度退塾すると、いつ復帰できるかわかりませんからね。
もし復帰をキャンセルすれば、そのお金は半分しか戻ってきません。
ちゃんと復帰すればお金はすべて返ってくるわけですから、手付金よりもはるかに良心的です。
休塾を許したのちに起こりうること
自塾で今まであった休塾希望の申し出には以下のようなものがありました。
・1年間の長期留学
・子供のやる気が落ちているので一度塾を休んで、頃合いをみて復帰させたい。
・高校に進学して本当に塾が必要かどうか分からないので、一度塾を休んで様子を見たい。
・家庭の事情でこの先数か月ほどお金が払えないのでその期間だけ塾を休ませたい。
今まで自塾であったこれらのケースでは、すべて退塾してもらいました。
復帰したいときには再度ご連絡ください。ただ満席の場合はすぐに入塾できない可能性も十分ございますのであらかじめご了承ください。
これらのケースで一度休塾を受け入れてしまえば、だんだんとエスカレートしていって、『テストも終わったばかりなので1ヶ月休塾します!』なんて要求が出るようになってしまうかもしれません。
安定して収益が得られないのに、募集はできない。
ひとり塾の経営は確実に破綻します。
休塾について必ず規約に明記する
今まで書いたことをあくまで私の塾運営における思想信条に基づいたものです。
各塾の運営方針に基づいて休塾に関するルールを決めていくとよいでしょう。
大切なことは、休塾に関するルールは入塾前にしっかりと示した上で、規約に明記しておくことです。
確かに休塾はレアケースかもしれません。
しかし保険と同じでレアケースにこそしっかりと備えておかないと思わぬ損失を生むことになりかねません。
しっかりとリスクヘッジをしておきましょう。