ひとり塾開業における大切な心構え「守破離」

心構え

皆さんは「守破離」という言葉をご存じでしょうか。

私自身、この言葉を知ったのは開業後でしたが、この考え方を塾の運営の参考にしていました。

守破離とは

守破離とは、主に剣道などの武道や茶道において、修行における段階を表したものです。

もとは千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある「規矩作法 り尽くしてるともるるとても本を忘るな」を引用したものとされています。(wikipediaより引用)

  • 「守」…師の型を忠実に守り、まねていく中で基礎をしっかりと身につける段階
  • 「破」…基本の型を土台として、他の流派の良いものを取り入れ、型をさらに発展させる段階
  • 「離」…既存の型の理解を深めることで、型に囚われない独自の新しいものを生み出す段階

実はこれはひとり塾経営についても同じことが言えます。

自分の経験をもとに一般化したうえで、これらをひとり塾経営に当てはめて考えてみます。

塾を発展させる手順

「守」…開業前の経験

独立開業する人には、正社員として学習塾に就職して何年が仕事をしたのち独立した人も多いと思います。

こういう人たちはすでに「守」の部分を身につけているということです。

確かに教室運営をしたことがあるってだけでかなり有利だな…。

どんな塾を開業するにしろ、生徒指導や保護者との面談など、運営の基礎が身についているのは相当なアドバンテージです。

一方で教室運営の経験がない人は、「守」の部分が我流になるということです。

我流の「守」が適切なものであればいいのですが、それでなければ、基本の型ができないまま運営していくことになります。

運営の基礎も生徒や保護者との適切なコミュニケーションの仕方も分からず、ただ勉強を教えているだけで運営に意識を回せない。

これが、数年で廃業してしまう塾の1つの特徴です。

だからこそ私は、アルバイトでもいいので塾で働く経験をしておくべきだと思います。

たとえアルバイトでも塾の中で働いたことがあるのとそうでないのとでは、塾運営のレベルは大きく変わります。

教室長の仕事ぶりから学べることも多いですし、年間の塾のイベントの流れも把握できます。

私はもともと6年ほどアルバイト講師をしていました。社員経験はなかったので、面談のポイントなどは教室長に聞いたり、他の塾長のブログや書籍で勉強しました。

「破」…いろいろな塾の良い点を集める

「守」ができた上で開業する人は、「破」がスタートになります。

売れている塾を徹底的に研究し、よい点を書き出していき、自塾の運営に生かしていくわけです。

売れている塾は基本成績が上がる塾です。そして成績が上がるのには必ず理由があります。

使っている教材や指導形態、学習時間、学習量などリサーチし、よい点を自塾に反映させていきます。

さらにこれは指導方法に限りません。

  • ホームページのレイアウトや文言
  • 外観
  • チラシのレイアウト

売れている塾とは集客力のある塾です。

集客力のある塾は、細かいところまで意識してホームページやチラシ、塾の環境を作り上げます。

ホームページの構成や文言、載っている写真や見せ方、チラシのレイアウトや塾の外観、内装も参考にしてよい点を自塾に反映させていきます。

「離」…塾のオリジナリティが見えてくる

私はひとり塾経営は、ジグソーパズルを作るようなものだと思っています。

基本の枠(守)があって、そこに自分がいいと思うピースを当てはめていく(破)。次第に全体像が作られていき、最後の1ピースを入れて初めて、自塾のオリジナリティが見えてくる(離)。

「離」の段階に至っている塾はそれほど多くないと思います。

自塾でも5年前の指導形態と今の指導形態は全く違いです。いろいろなピースを当てはめていく中で、今の形に落ち着きました。

しかし、完成したと思っていたジグソーパズルも、よく見ればまだピースを当てはめる余地はたくさんありました。

ここから10年後でまたがらりと違う塾になっているかもしれません。

塾を辞めるときに初めて自塾が「離」に行きついたかどうかわかるのかもしれません。

開業直後に意識すべきこと

開業前や開業直後は、何とか唯一無二のオリジナリティを出そうと試行錯誤しがちです。

ほかの塾にはない特徴…保護者の目を惹くオリジナリティ…考えろ考えろ…

一方でそのような塾ほど、守破離の【守・破】を疎かにして、一気に【離】まで飛んで考えてしまい、客のニーズがつかめないまま独りよがりになってしまいがちです。

でもたくさん塾がある中で自分の塾を選んでもらうにはオリジナリティって必要じゃん?普通の塾を開業しても選ばれないんじゃない?

確かに世の中にはオリジナリティがある塾がたくさんあります。

しかし売れている塾ほど基本の「守」がしっかりしています。当たり前です。ここがしっかりしていない塾を保護者は選びません。

コミュニケーションが下手。お知らせのタイミングが遅い。教え方が下手で分かりにくい。チラシデザインは業者任せ。ホームページも更新しない。

だけどオリジナリティは出そうとして思想信条を強く打ち出す。

このような状態で保護者からの信頼は得られるでしょうか?

まさに独りよがり。

オリジナリティがあるように見える人気の塾も、そこに至るまでは、泥臭く目の前の生徒の成績を上げ続け、保護者の信頼を獲得し、地道に販促をし続けているわけです。

ここをすっ飛ばしてオリジナリティを謳ってもただの独りよがりの張りぼてだと見抜かれます。

まずはとにかく「守」を徹底し、「破」を繰り返すこと。オリジナリティは自ら生み出すものではなく、そこから生まれるものだと私は考えています。

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