生徒にとって厳しい塾を目指すべき理由

心構え

厳しい塾、といっても、暴力的、威圧的な指導をするという意味ではありません。

さすがに今の時代そんなことしたら問題になるからな~

一方で、みんながみんな言われたことをちゃんとやってくる子なら塾も苦労しませんが、そうはいかないのが現実です。

ひとり塾における「厳しさ」とは

結論、ひとり塾における厳しさとは、勉強において妥協を許さない姿勢です。

普段生徒に対してどれほど優しく接していようとも、勉強に関することだけは妥協せず厳しさを示すべきだと考えています。

自塾では生徒に「この塾では適当なことをすると、全部自分に跳ね返ってくる」と思わせることを意識しています。

  • 宿題忘れ → その場でやらせる。終わってから授業スタート。
  • 分からない問題をそのまま放置 → 自分の言葉で解説できるまで帰宅不可
  • 寝てしまった → 寝た時間だけ勉強時間延長
  • 途中式がない → 解きなおし

「次からは気を付けてね」などと言って許すことはありません。

塾に入ったばかりかどうかも関係ありません。

とにかく塾として勉強に妥協しない姿勢を示すことが重要です。これは生徒の成績を上げるためでもありますが、経営上の理由もあります。

厳しいひとり塾を目指すべき理由

塾長の本気度のアピールになる

例えば我が子が宿題を忘れたとき、「次は気を付けてくださいね」と言われたときと、「宿題をやってから授業を始めるので、迎えの時間を30分遅らせてください」と言われたとき。

どちらが塾の本気度が伝わるでしょうか。

厳しいほうが、本気で向き合ってくれているという印象を抱きやすいです。

私の経験上、多くの保護者は我が子に厳しくしてほしいと思っています。

少なくとも甘やかしてほしいなどと思っている保護者には未だかつて出会ったことがありません。

甘やかして塾への不信につながる可能性はありますが、厳しくして塾に不信感をもつ可能性は少ないです。

もちろん厳しさとは、声を荒らげたり威圧的な指導をするなど、生徒を恐怖で縛る指導ではありません。

生徒の成績を上げるためには一切の妥協を許さない姿勢を示す。この厳しさが、塾のアピールになります。

生徒の質が上がり成績を上げやすい

塾として勉強に妥協しない厳しい姿勢を見せておくことで、学習意欲のない子の入塾をある程度防ぐことができます。

自塾では、最初の面談の段階で塾の厳しさを隠さずに前面に出して説明します。

当塾はやることが非常に多いですし、やれていなければ帰れない可能性もあります。

勉強をできるようにしたいと思っている子なら許容できるような厳しさでも、甘えた考えの子はその説明を聞いているうちに表情が曇ります。

結果的に、体験すら受けないケースがほとんどです。

最初から学習意欲のある子だけを集客できるので、生徒の質も上がり、成績も上げやすくなります。

成績が上がれば口コミも広がります。

厳しい塾という口コミも広がるので、そもそも学習意欲のない子からの問い合わせ自体がなくなっていきます。

学習意欲を持っている子なんてそんなにいないんじゃないの?

学習意欲というと勉強に積極的というニュアンスが出てしまいますが、あくまで「塾生としてやるべきことはちゃんとやる」という意識だと思ってください。

勉強ができるできないは無関係です。

「褒めて伸ばす」は難しい

私は厳しくするのが苦手だから…たくさん褒めて伸ばしていきたいな。

褒めて伸ばす指導自体は否定はしませんが、そもそも褒めて伸ばすってめちゃくちゃ難しいんです。

【褒める】という何のストレスもかからない行為で成績が伸びるなら誰も苦労しません。

そもそも勉強ができない状態で塾に来ている生徒に、勉強において褒めるところなんて大してありません。

それでも無理に褒めようとすると、その「わざと感」を子供は敏感に感じ取ります。

たしかにちょっと簡単な計算ができて大げさに褒められたら、俺ならバカにしてんのかと思うな。

わざと褒められていると分かっていて、やる気なんて出るでしょうか?

よほど普段から抑圧されているような子なら効果があるのかもしれませんが、普通の勉強できない子にはあまり意味はないでしょう。

褒めるのではなく承認する

東洋経済オンラインに参考になる記事があったのでご紹介します。石田 勝紀氏の記事です。

  1. 褒める場面であれば素直に褒める。ただし日常、褒めるシーンはめったにない
  2. 無理やり褒めると、効果がないどころか逆効果もある
  3. 日頃は「承認する」言葉を使う。具体的には「いいね〜」「すごいね〜」「さすがだね〜」といった形で承認する。(大げさにならないように、語尾を「〜」と伸ばすなど、あくまで軽いトーンで言うことがコツ)
  4. 承認言葉は子どもの自己肯定感を高めることにもつながるため、うまくいくと子どもの自己実現への欲求を育てる

特に3は非常に重要だと思います。

結果ではなく、取り組みに対して、その頑張りを承認する。大げさに無理してではなく、あくまで軽く、自然に。

普段厳しく、勉強に妥協しない指導をするからこそ、こういった声掛けの効果も高まります。

普段から緩いルールで優しい先生に承認されるより、厳しい先生に承認された方がギャップがある分、喜びも大きく自己肯定感も上がると思います。

子供に嫌われたくないならひとり塾はおすすめしない

塾に来る子供がみんな、言われたことをしっかりやる学習意欲の高い子であれば、そもそも厳しく指導する必要なんかありません。

しかし、残念ながらそうでない子のほうが多いのが現実です。

勉強で妥協し続け、逃げ続けてきた子がたくさんいます。

そんな子たちに、優しく楽しく授業をし無理やり褒めて気持ち良くさせ、サボりにも目を瞑り、嫌なことはやらせず、無理もさせず…。

これで本当に成績を上げられるでしょうか。

少なくとも私には無理です。

塾が勉強に妥協しない厳しい姿勢を見せ、生徒にもそれについてきてもらう。ダメなことはダメとはっきりと言い、正しい姿勢を身につけさせる。

生徒に嫌な顔をされようが、ふてくされようが、最悪泣きだそうとも、妥協しない姿勢は変えない。

特にひとり塾では、これくらいの覚悟は必要だと思います。

そういう意味で、生徒に嫌われることを恐れるような人は、ひとり塾経営には向いていません。

塾を去って数年後に「あの塾で言われたことが役に立った」と思ってもらえるように、今泥をかぶる覚悟を持つべきだと私は思います。

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