生徒が退塾するときの正しい対応とは?

心構え

どれほど実力のある塾でも生徒の退塾は必ず発生します。

実は、入塾時の対応と同じくらい退塾時の対応は重要です。

一歩間違えると塾に致命的なダメージを与えかねないということを重々意識しておく必要があります。

退塾を申し込まれたときの対応

退塾を申し込まれた際、最初に言うべきこと。

『お力になれず申し訳ございません』

この一言です。

え~でも向こうも結構無理難題押し付けてきたり理不尽なこと言ってきたりしたのに…謝る気にはならないよ。

重要なのは「お力になれず」の部分です。

つまりどんな経緯があれ、最終的に退塾するのであれば、力になれなかったのは事実なわけです。

その事実に対する謝罪は最初にするべきだということです。

もちろん辞める理由はいろいろあるでしょう。保護者判断なのか、生徒判断なのかも、こちらは真実など分かりません。

塾として言いたいこともあると思いますが、まずは事実に対して謝罪をするのは大切です。

退塾引き留めについて

退塾の引き留めに関しては、基本的に私は一切しません。

退塾を伝えるというのは保護者がいろいろと熟考し、検討した上での結果です。

ひとり塾ならなおさら言いづらいですよ。それを言うということは、その時点で引き留めても無駄なくらい覚悟が決まっているのです。

いろいろな対策、改善策を伝えて退塾を引き留める塾長もいるかもしれませんが、保護者からすれば『それなら言われる前にやれよ!』と思いますよね。

中途半端な引き留めは相手に悪い印象を与える可能性があるので注意が必要です。

退塾時のNG対応

退塾が決まった生徒に普段と異なる対応をする

退塾を申し入れたからと言って、すぐに退塾になるわけではありません。

塾にもよると思いますが、少なくとも月末までは授業が継続するところも多いのではないでしょうか。

つまり退塾を申し出た後も生徒の授業はしばらく続くわけです。

そんな時に絶対にNGなのが退塾が決まっている生徒に普段と異なる対応をすることです。

○○さんは…(まああと2週間で辞めるから…)宿題はなしでいいよ~

私はもう辞めるから?…怒ってるのかな…?

生徒自身も辞めることに対して後ろめたさを感じています。

そんな時に普段と違う対応をされると、その後ろめたさに拍車をかける可能性があります。

理由は後述しますが嫌な気持ちで塾を去ることは絶対に避けなければなりません。

授業は月末まであるから、最後まで頑張ろうね!宿題なしにはならないよ~!

これくらいの懐の深さをもって接するように心がけましょう。

保護者に対して反論する

退塾の際に、自分の意図と異なることを言われることがあるかもしれません。

時には反論したくなる気持ちも出てくるでしょう。

しかし、退塾が決まっている人に反論して心証を悪くしても何の意味もないどころかむしろマイナスです。

googleの保護者からの口コミ

評価☆☆

この塾では分かるまで教えると言ってくれたのに、分からないまま帰ってきていることが多く、最初に言っていたことと全く違う対応をされました。

成績も大して上がらず残念でした。

例えばこのような口コミが掲載されたとします。

これに対する返信

お子さんは宿題をまともにやってきていなかったので、その補習に時間を割かざるを得ず、復習でほとんどの時間を使ってしまうため、時間内でやりきるのが難しかったです。

成績が上がらないのはお子様の取り組みに対する意識にも問題があります。

ほかの塾に行かれてもそこを改善しない限り成績向上は難しいと思われます。

これを読んでどう感じるでしょうか。

そうだったのかもしれないけどなんか怖いな……

たとえこれが真実だったとしてもこれを読んだ第三者がどう思うのかをしっかりと考えなければなりません。

塾長1人しかいないひとり塾では、塾長のパーソナリティーに不安感を持たれるのは集客に直接影響します。

googleの口コミだけでなく、保護者とのLINEやメールのやり取りも同様です。

LINEのやり取りをママ友に見せる可能性だってあるわけですから。

塾生の保護者に生徒の成績を伸ばすために意見を述べたり、反論をしたりするのとは別問題です。

退塾を決めている保護者には何も反論をするべきではありません。

ちなみに先ほどの口コミに対して私なら

この度はお力になれず大変申し訳ございませんでした。

今後よりよい指導ができるように改善をさせて頂きます。

口コミへのご投稿ありがとうございました。

これで十分誠実な印象を与えることが出来るのではないでしょうか。

1人の保護者ではなくそのやり取りを見るであろう多くの保護者に目を向けるようにしましょう。

正しくケアした退塾は商機を生む

上述の点に気を付けて、何の後腐れなく退塾してもらえれば、実はそれが商機を生むこともあります。

そもそも多くの保護者は、子供の成績が上がらない原因がすべて塾にあるとは思っていません。(もちろん例外もありますが…)

少なからず子供の取り組みや意識などにも原因があることは重々理解しています。

保護者と密なコミュニケーションをとって現状把握をしていればなおさらです。

うちの子は成績が上がらなかったから辞めたけど、先生はとても頑張ってくれたな…。いい先生だから同級生のお母さんに紹介してあげようかしら…

子供の成績が上がらなくても、とても熱心に指導してくれたことが伝われば、そこから紹介してもらえる可能性もあるのです。

自塾でも成績が上がらずに退塾した保護者からの紹介も過去に何件かありました。

兄は成績が上がらずに辞めたけど、代わりに妹をお願いしたいというケースもありました。

成績が上がらずに辞めた塾を他の人におすすめすることなんてあるの?と思われるかもしれませんが…

塾のようにサービスを提供する人(生徒)と、料金を払う人(保護者)が異なるという特殊な業態では、こういったことは珍しくありません。

そういった意味でも、『塾としては成績が上がらず満足できなかったけど、塾長さんはいい人だった』と思ってもらえるような終わり方を意識しましょう。

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