『ニッチ』とは、大手が狙わないような小規模な領域のことです。
大手が狙わない…?逆に狙い目じゃないか!
『大手が狙わない領域』と聞くと狙いたくなりますよね。気持ちはわかります。
しかし、特にひとり塾においては、ニッチを狙った経営はおすすめしません。
ひとり塾のニッチな領域とは
まず、ひとり塾経営におけるニッチな領域とはどこなのかを考えます。
不登校の子
代表的なのが不登校です。
学校に通っていない期間の学習の遅れをカバーするための取り組みが中心となります。
学習障害をもつ子
最近増えていると感じるのが学習障害です。
学習障害を持つ生徒に対して、認知機能の向上などを目的とした取り組みが中心となります。
各種検定試験を受験したい子
大学入試制度の改革の中で俄かに需要が高まっているようです。
近年は一概にニッチなターゲットとは言いづらいですが…
英語検定や数学検定、TOEIC などといった検定試験を受験したい子に向けた指導が中心となります。
中学受験をする子
首都圏は別です。塾長自身に受験経験があればメインターゲットにしてもいいのかもしれません。
ただ、自塾のような地方においては中学受験もニッチ寄りです。
中学受験をしたい小学生に向けた指導を行います。
ニッチを攻めてはいけない理由
分母が小さい
ひとり塾で小規模な領域を攻めるのは悪手です。
不登校や学習障害は、学年に1桁人数くらいしかいない学校がほとんどでしょう。
地方においては中学受験を希望する子も同様に少数派です。
そのなかで塾で勉強したい子となればさらに少なくなります。
ひとり塾経営は基本的に少人数ですが、ターゲットの分母を小さくしてしまうと事業の継続が難しくなります。
1000人から40人の生徒を確保するのは4%ですが、100人からでは40%です。
2つの校区からの地域シェア40%を個人塾が確保するのは並大抵のことではありません。
小さい分母からさらに小さい顧客を取るのではなく、大きな分母から小さい顧客を集める方が遥かに楽でなのです。
明確な結果が出にくく、口コミが発生しにくい
通常、塾は生徒の成績を上げ、そこから口コミを発生させることで事業の継続を安定化できるようになります。
その点、不登校生徒や学習障害を持った子のご家庭には、そもそもテストの点数は二の次だというご家庭も多いのです。
学校に行っていない分の遅れをカバーできればいいんです…
実際私も不登校の生徒の指導をしてきましたが、保護者も生徒もあまり結果にこだわっていませんでした。
明確な結果が出にくいので、そこから口コミを発生させることが難しくなります。
不登校児や学習障害を持った子をもつコミュニティーに属してる保護者つながりの紹介なら可能性はありますが、そもそも母数が少ないので、大きな期待は見込めないでしょう。
生徒1人に対して人員がかかる
ひとり塾では、基本的に生徒1人に多くの時間をかけることができません。
英検対策であれば面接の練習も必要になります。面接は基本1対1。生徒1人に対して塾長がつきっきりになる時間が発生するわけです。
学習障害を持った子でも、特にADHDの子は落ちついて勉強できない子も多いでしょうから特別な配慮が必要になる可能性も高いです。
中学受験については、ただ勉強を教えればよいというわけではありません。
相手はまだ小学生です。気分にもムラがあり、1人に対して密なコミュニケーションとフォローが必要になるでしょう。
このようにニッチな領域は基本人員がかかります。大手が狙わないのは、限られた人員で利益を上げることが難しいからです。
その領域を人員1のひとり塾が狙っても利益を上げづらいのは自明です。
ひとり塾で手広くはNG
ニッチ領域を責めたい気持ちもわかります。
ただ、ひとり塾は人員が限られているので、手広くいろいろなニーズに対応させるのはおすすめしません。
たとえ問い合わせがあっても、その子のことを考えた上で自塾ではなく、専門の塾に行った方がよいと提案します。
ひとり塾では、コースを絞って運営することをおすすめします。