なぜひとり塾で口コミを得るのに時間がかかるのか？

個人塾の開業を考えている人の中には、このような考えを持っている人も多いと思います。

私も最初はこう思っていました。しかし現実を知ります。

個人塾は、人気の塾になるために長い期間を必要とします。

特にひとり塾で口コミを得るのには時間がかかります。

口コミは人気の塾に必要条件

私が人気の塾かそうでないかを判断する１つの基準があります。

それはいかに販促をせずとも自然と問い合わせがあるかどうかです。

つまりチラシなどを配らずとも、口コミだけで問い合わせがあり、満席になるのが人気の塾です。

ラーメン屋などの飲食店は一度食べて美味しければ、そこから口コミは一気に広がります。開店数日で行列ができる店になる可能性もあるわけです。

では塾でそのようになる可能性はあるのでしょうか。

答えは否です。

口コミを得るために必要なもの

開業後すぐに人気塾にならない理由は簡単です。

口コミを発生させるために必要なのは、何と言っても「成績が上がる」という実績だからです。

口コミは成績が上がるという実績でしか広まりません。

教室がきれいとか、塾長の人柄とか、そんな外面では口コミなど広まりません。

開業当初は当然実績などないのですから、口コミなど広まりようがないのです。

稀に開業していきなり問い合わせがたくさん来るケースがあるようですが、それは人気の塾ではなく、単に運よくそういう立地やタイミングだったか、競合が弱いか、塾長に何らかのブランドがあることがほとんどです。

このようなケースでは、開業直後のオペレーションが定まっていない状態から多くの生徒に対応する必要があるので、これはこれで大変です。

開校初期に実績を作るのは簡単ではない理由

成績を上げやすい上位層が集まりにくい

早く実績を作るための最も簡単な方法は、優秀な子を指導することです。

ある程度勉強ができる子なら、学習習慣も備わっていて、勉強のやり方もそれなりに理解していて、指導しやすいでしょう。戦略を改善すれば成績を上げやすいのは確かです。

しかし、残念ながら、開業初期に上位層は集まりません。

当然です。

成績が優秀な子は、得体の知れない個人が始めた学習塾よりも、信頼と実績のある大手に流れます。

もし開業したての塾に優秀な子が来るとしたら

「家から近い」か「大手塾との併塾」という理由くらいです。

近さと言うのは非常に重要な通塾理由の一つです。

勉強ができる子でも、家では集中できないので塾で自習をしたい、と言った子が一定数います。

また大手塾でついていくのに必死な子が、その補習のために個人塾を選択する、というケースもあります。

低学力層が集まりやすい

一般的に開業初期には低学力層の子が集まると言われています。

実績以外の部分で選ぶ家庭に優秀な子はあまりいない印象です。

さらに、低学力層の子の成績を上げるのは簡単ではありません。単に分かりやすく教えればいいというわけではないからです。

勉強の習慣もない。間違えた時の直しの仕方も分からない。質問もしない。そもそも意欲が乏しい。

低学力層の多くは、こういった状態だからです。

コミュニケーションに難がある子が集まりやすい

開業初期には「できたばかりの塾は、知っている子がいないと思って」と言われることが何度かありました。

お母さん曰く、学校で少し浮いていて、知っている子がいる塾だと嫌だということ。

話しをしてみても、あまりうまく意思疎通ができないというか…シャイというレベルで済まされないという子が一定数います。

コミュニケーションがうまく取れない子の成績を上げるのは簡単ではありません。

もちろんすべてがこういう子とは思いませんが、気持ちが折れやすく、ちょっと厳しくしただけで早期に退塾してしまうケースが割とあるからです。

口コミが発生するまでには時間がかかる

開業初期には低学力層の子が集まります。低学力層の子の成績を上げるのは簡単なことではありません。

勉強の習慣がない状態を改善し、質問するための意識を育て、直しのやり方を身につけ、少しずつ解けるようにしていく中で自信をつけさせていき、最終的に成績を上げるための土台を作っていくわけですから。

半年は見ておかなければなりません。

つまり、半年は実績が作れない可能性があるということです。

しかも仮に成績が上がったとしてもその数はまだまだ少ないです。口コミの発生を期待できるほどの人数ではありません。

口コミを発生させるには時間がかかるんです。

手っ取り早く口コミを発生させる方法などありません。

人気塾になるまでの道のりは長い

人気のある塾とは、チラシなど配らなくても、口コミから安定的に問い合わせをもらえる塾です。

その第一歩が、開業当初に来てくれる低学力層の子の成績を上げることです。

簡単ではないですが、そういった実績を少しずつ積み上げていくしかありません。

結局、低学力層の子の成績を上げられるだけの実力のある塾だけが残っていくということですね。