たくさんの生徒をたくさんのアルバイト講師でまわす大手の個別指導塾などは、当然多くの座席数が必要になります。
一方でひとり塾では、少人数高単価での経営を目指します。
自然と席数も少なくて済むわけですが、それでもある程度は必要です。
生徒は50人くらいは集めたいから50席準備しよう!
このような考えもあって当然です。生徒が自習にきて、『席が空いてない!』なんて状況にはしたくないですしね。
席数=生徒数にするデメリット
生徒数と席数を同じにすれば、生徒が来たときに席がないという事態は避けられます。
一方でデメリットもあります。
教室の規模が大きくなる
まず一番の懸念点は教室の規模です。
仮に生徒を50人集めようとします。
学校の教室を想像してみてください。
学校の教室は最大人数40人で広さは約64㎡です。
学校の教室の最大収容人数にさらに10人分のスペースが必要になるわけです。
塾ではさらに靴箱や面談のためのスペースなどが必要です。
確実に70㎡は超えます。下手したら80㎡を超えるかもしれません。
80㎡の教室を一人で運営するのは大変ですよ。
死角が多く、生徒の管理が難しくなります。
そもそも50人埋まった状態の教室をひとりで運営すること自体、相当綿密なオペレーションがないと厳しいでしょう。
家賃が高くなる
70㎡以上の教室を借りようと思うと、家賃も高くなります。
駅からある程度近くて、1階路面店でとなれば、地方でも平気で10万は超えてくるでしょう。
地域によっては20万前後くらいになってしまうかもしれません。
開業初期で数人しかいない状況でも、家賃は50人分かかってくるわけです。
大きい固定費が初期の経営を圧迫することになります。
流行ってない雰囲気が出てしまう
たとえ小さい塾でも満席であれば活気のある塾に見えるものです。
逆に教室は広いのに勉強している生徒数が少ないと、かなり寂しい雰囲気になってしまいます。
狭いこぢんまりとした満席の居酒屋と、広いのにぽつぽつしかお客がいないファミレス
どちらが魅力的に映るでしょうか?
常に50席用意して、通常20席程度しか埋まっていなければ、生徒には常に空いている塾だと思われます。
生徒にとっては常に空いていていいのかもしれませんが、『うちの塾は常に空いているんだよ』と言われて、流行っている塾とは思えませんよね。
自塾のケース
自塾は席数28席で55㎡です。
生徒数は記事を書いている時点で45人くらいです。
全員が一気に来たら当然座れません。
しかし、生徒が来たのに席が空いていなくて自習ができない、という状況になったのはこの10年でたった1回だけです。しかもその1回も待ちは5分程度でした。
ひとり塾では何席がベスト?
結局ひとり塾では何席あればいいのでしょうか。
結論自分1人で管理できる広さの教室に対して、最初は15〜20席程度用意しておき、そこから必要に応じて増席していくのが合理的でしょう。
学校の1つの教室が60㎡なので、それを一つの目安にすればいいと思います。
自塾も最初は15席程度しかありませんでした。
生徒が増えるにつれて、机を小さくしたり、レイアウトを変えるなどして席数を増やしていき現在28席程度です。
満席にしないための工夫
座席数が生徒数より少なくても運営できるようにするための具体的な方策としては、
- 時間割をつくる
- 塾に通う日をコースによって制限する
- 予約制にする
などが考えられます。
逆に、いつでも塾に来て勉強できますよ!という最近流行りの『通い放題』にすると、人数の把握が難しいです。
対象とする学年や塾の指導システムによっても変わってくるので、工夫をして運営できるようにしましょう。