ひとり塾がほかの塾と大きく異なる点。それは教える人間がひとりしかいないということです。
たくさんの生徒がいたとしても、その分たくさんのアルバイトがいれば、仕事を分散できます。
しかし、ひとり塾では生徒がたくさんいればその負担はすべて塾長にきます。
多くの生徒をひとりで指導するには、指導システムの構築が必要不可欠になります。
指導システムとは
指導システムとは、『授業で何を使って、どのように指導していくか』の仕組みのことです。
まぁ…私が勝手に『指導システム』と言っているだけです。
この大枠はどの塾も大して変わりません。
その中で、それぞれの塾が、塾の特徴を出すべくいろいろな仕組みづくりをするわけです。
例えばICT教材を使って家での自習を監視したり、塾での自習を強制にしたり、全問正解できるまで帰れないようにしたりと、工夫の仕方は塾によってさまざまです。
ひとり塾の指導システムに必要なこと
どのような指導システムを構築するにしても、まず大前提として必要なことがあります。
生徒の手を止めない
個別指導なら生徒1人に指示を出してやらせている間にもう1人を指導するということができます。
集団塾ならそもそも授業で全員共通の指示を出すので問題ありません。
一方ひとり塾では1人ひとりに別々に指示を出しているとうまく回りません。
確かに生徒によって進み方に差があるだろうし…終わり次第毎回指示をもらいに来られるのは、把握するのも大変だ…
20人の生徒に別々の指示を出して回すことができたとしても、常に塾長の手が埋まっている状態になりかねません。
そんな時、別の子から質問が来たら…?たまたま保護者からの電話が長引いたら…?
指示をもらえない生徒の手が止まってしまうことになります。
常に先生の指示がなければ全く何もできないようなシステムはいずれ破綻します。
ある程度授業の流れを作っておき、先生が常に指示しなくても、生徒が臨機応変に対応できるようなシステムを構築しましょう。
ひとりにかける時間は最小限
集団型にするにせよ、個別型にするにせよ、自立型にするにせよ、1人にかける時間を常に意識したシステム作りが基本です。
何十人もの生徒を相手にするのに、1人に10分も20分もかけていては指導は回りません。
例えば授業の中で1人最大3分でチェックを入れるようにすれば、20人いても1時間かからずに全員チェックができます。
質問対応についても1人3分までと制限を決めておくなど、時間制限を意識するようにしましょう。
質問対応の時間を確保
『学校だと分からない所があっても質問できないので塾で質問したい』という要望は非常に多いです。
質問ができない塾だと不満がたまりやすく、転塾や退塾につながりやすくなります。
「質問ができない」というだけで、個人塾の存在意義はほぼなくなると思ってください。それを保護者に説明した段階で検討から外されてしまうので注意しましょう。
例えば集団型なら授業後に質問対応の時間を設けておくなど、必ず生徒が質問できる時間を確保したシステムを意識しましょう。
塾長が直接指導する時間を作る
ひとり塾で塾長が指導しないって…どういうこと!?
今やYoutubeなどで無料で良質な指導動画を見られる時代です。毎月数千円払えば全教科の授業動画を何度でも見られます。
このようなICT教材を活用し、動画だけ見させてチェックして終わり。
これで月数万の学習塾にどれほどの価値があるでしょうか。
たとえ映像授業を用いるにしても、動画で分からない所を塾長がちゃんと教えてくれるという安心感があることが重要です。
そのためにも、指導システムの中には必ず塾長の直接指導をいれましょう。
生徒が解いた問題について解説をしたり、ポイントを指導したり、質問に答える時間を作るなどでも構いません。
要は、指導を動画教材に丸投げするなということです。
ポイントは学習量、復習回数、時間
どんな指導システムでも塾長の自由ですが、たとえ授業を回せても成績が上がらなければ意味がありません。
成績を上げる上で重要なのは学習量、復習回数、勉強時間です。
例えば2時間ずっと動画で授業を聞いているだけでは学習量も復習回数も足りません。
これを1時間授業をして、もう1時間は演習、という形にすれば学習量と復習回数を授業の中でカバーできます。
さらに塾に来ている時間が2時間なら、この2時間だけ勉強しても時間としては足りません。
これを別日に自習日を2時間設ければ4時間となって、勉強時間も量も回数もカバーできます。
学習量、復習回数、勉強時間をしっかりと確保しつつ、生徒の手を止めず授業がうまく回っていくような指導システムを考えていきましょう。