ひとりで塾を経営するために開業前にもつべき心構えとは?

mind 心構え

子供が好き。教えるのが好き。

それだけではうまくいかないのがひとり塾経営です。

塾長として、そして塾経営者としてしっかりと心構えを持っておくことが、塾を成功させるうえで必要不可欠になります。

ひとり塾開業前にもつべき心構え

誰でも簡単に始められる仕事だと自覚する

「起業」とか「独立」などと言うと、何となくすごいと思われがちですよね。

90%はサラリーマンなのですから、よく知らない人からすれば「すげ~」ってなるのかもしれません。

しかし実際はどうでしょう。

初期費用も大して掛からない。年齢も性別も不問。学歴も職歴も不問。資格も不要。

よく考えれば、やろうと思えばだれでもやれるな…これ。

ちょっと勉強が教えられて、数百万程度の資金があれば、誰でも簡単に始められる仕事なのです。

誰でも始められる仕事は参入障壁が低い分、継続して利益を出すことが本当に難しいのです。

起業してちやほやされて浮かれていると、すぐに足元すくわれて数年で廃業なんてことになりかねません。

子供の一生を左右する仕事だと自覚する

塾の仕事とは、いい意味でも悪い意味でも子供の一生を左右するかもしれない仕事です。

生徒が勉強を頑張り、成績を上げ、目標としていた高校や大学に合格して、その報告を受けた時の喜びは塾講師冥利に尽きます。

一方で、残念ながら不合格になった子は、その事実を一生背負って生きていくわけです。

通っていた塾のこともそのときの塾長のことも忘れません。

ひとりで気ままに塾やってストレスなく過ごしたいな~

ただ1人で気楽にやりたい、楽して稼ぎたい、なんて理由で情熱もなく続けていい仕事ではありません。

3年赤字を覚悟せよ

塾を始めてチラシを出せば、問い合わせで電話が鳴り止まず、瞬く間に満席になるなんてことは99%ありません。

それどころか数ヶ月問い合わせがない、なんてこともざらにあります。

20人くらい集まればとりあえずは黒字だから3年も赤字にはならないでしょ

たとえ初年度に20人来てくれたとしても、年度末に卒業していく受験生もいるわけです。

大抵の塾では、毎年一定数生徒が卒業し、年度末に売り上げが落ちます。

損益分岐が20人だったとして、たとえ3ヶ月で20人入塾を達成できたとしても、年度末に10人卒業すれば、赤字転落です。

口コミが広がっていくと、卒業と同時期に新規の生徒の問い合わせも増えますが、開業したての個人塾ではそうなるとは限りません。

10人卒業して5人しか入塾しなければ、その年度は赤字スタートになるわけです。

生徒の卒業がある年度末は、問い合わせを心待ちに毎年ドキドキしながら過ごしています。

生徒の成績が上がり口コミが発生するまで3年はかかるとすれば、その期間は赤字になることを覚悟して臨むくらいでいいでしょう。

最初から休むことなど考えない

サラリーマンは決まった休みが会社から与えられますが、ひとり塾は個人事業主。

休むのも働くのも自分で決められます。

特に開業したてでは、生徒募集や販促の計画、教室の掲示や入試の情報収集、自分の勉強、役所の手続き関係、確定申告の準備など、教えること以外でやるべきことは山ほどあります。

そして当然ですが、それらはすべて自分でやらなければなりません。

新しい生徒を増やすための仕事と塾生の成績を上げるための仕事をそれぞれ100%の力で取り組まなければならないわけです。

やることめちゃくちゃあるな…仕事任せられる人もいないしな…

開業当初は月~土まで塾を開けて、日曜は暇さえあれば近隣にポスティングをしていました。

しっかりと損益分岐点まで生徒を増やすこと、そして生徒の成績を上げて、口コミを広げることが何より重要な仕事であり、それが達成できるまでは休みのことは考えるべきではないと思います。

そもそも最初からしっかりと休みを取りたいのであれば、個人事業主はあまりお勧めしません。

休みは事業がある程度軌道に乗ってから考えてください。

接客業であることを自覚する

保護者はいろいろな塾を比較検討する中で、塾の指導内容ももちろんですが、塾長の人柄もよく見ています。

そんなとき、塾長が節目気味でぼそぼそと聞き取りづらい声で自信なさげに話していたら、聞いている保護者も不安になります。

話し方が偉そうとか、身だしなみに清潔感がないなども問題外。

塾はサービス業であり接客業である、という意識を持つべきです。

人見知り。コミュニケーションが苦手。

そういう人もいるとは思いますが、これは克服しなければなりません。仕事なのですから、当然です。

その上で、面談での提案の仕方や体験、契約までのもっていき方などしっかりと練習しておくべきです。

塾に来てください!でほいほいと来てくれるほど甘くはありません。

どこで保護者に見られているか分からない

これは当たり前のように見えて意外と忘れがちなことです。

ホームページに顔出しをしているならなおさらです。

自分の子供を任せている先生が店員に対して横柄な態度を取っているのを見たら、私なら幻滅しますし、大切な子供を預けることに不安を覚えます。

その店員がもし保護者だったとしたら…

その店員がホームページであなたのことを知っている人だったとしたら…

おいこの店どうなってるんだ!何様のつもりだ!責任者だせ!

えっあれ塾の先生じゃない?あんなことを人だったんだ…ショック

信頼を積み上げるのは大変ですが、壊れるのは一瞬です。

塾に近いかどうかで態度が変わるのはどうかとも思いますが、少なくとも塾近隣では、謙虚な態度で過ごすように心がけましょう。

何となく気楽に始めた人の末路

何の心構えも覚悟も持たない人が経営を成功させることなどできません。

お気楽な気持ちで塾を始めた人のあるあるパターンがこちらです。

  1. 生徒が集まっていない状況にも関わらず、ちゃんと休みを取るし、指導の準備にも力をいれず、持ち合わせの小手先の指導でごまかす。
  2. 問い合わせがこなくても「まあいつかは来るだろう」と対策を打たない。ポスティングやブログなどやれることもせず、常に待ちの姿勢。
  3. たまにある問い合わせに対しても、面談等の練習をしていないためまともに提案ができず、契約まで持っていけない。
  4. 授業準備を疎かにし、生徒の成績も上がらず半年くらいで見限られる。
  5. 数少ない生徒も年度末に卒業し、また1桁人数からスタート。
  6. 気楽に始めた分、忍耐もなく、もう利益でなさそうだから…と2年目で早くも撤退を考え始める。
  7. そんな状況で指導に注力することなどできず、中途半端な気持ちで指導し、生徒に見限られる。

何事もそうですが、気楽に始めて、楽して儲かるなんて、そんな甘い話はありません。

「この仕事で生きていく」という覚悟が最低限必要です。

タイトルとURLをコピーしました